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えーとですね、例えば、固定資産の取得価額1,000万円、そのうち交際費となるものが100万円含まれているとします。
一方、当社の当期における交際費は、交際費勘定700万円、固定資産勘定に含まれているものが先ほどの100万円あるとします。
また、当社の期末資本金は2億円だとします。
(1)法人税の「交際費の損金不算入」の計算とそれに関連する申告調整
まず、固定資産の取得価額になっている交際費100万円については、資産計上されているのでそもそも会社の費用になっていません。
ということは、法人税法上もまだ損金にはなっていませんから、これを一度「減算」することにより、損金算入された状態にします。
(さもないと、損金になっていない交際費を「交際費の損金不算入」で加算してしまうことになるので、これはおかしい。)
イ.原価算入交際費100万円(別表四 減算留保)
これで、固定資産に含まれている交際費100万円は費用として損金経理されたのと全く同じ状態になりました。
引き続き、交際費の損金不算入の計算をします。
ロ.交際費の損金不算入
a.支出交際費の額 交際費勘定700万円+固定資産勘定100万円=800万円
b.定額控除限度額・・・資本金1億円超なのでなし。
c.交際費の損金不算入 a−b=800万円(別表四 加算社外流出)
資本金が1億円超なのですから、交際費は単純に全額加算ですね。
(2)翌期の会計上の調整
前の期に「原価算入交際費100万円(別表四 減算留保)」という調整をやっているので、この場合は必ず翌期において企業会計上、
交際費100万円 / 固定資産100万円
という仕訳をしなければなりません。
基本的に法人税法が企業会計に対して「仕訳しろ。」と指示することは通常まずないのですが、これは例外的にめずらしく税法が企業会計に対して干渉している例外的なケースです。
この仕訳をした場合、翌期においては企業会計上、交際費100万円を増加させたことになります。
しかし法人税法上は、この原価算入された交際費はもうすでに損金として処理済みなので、翌期における企業会計上の交際費を法人税の申告書上ではなかったものとします。
つまり、翌期の交際費を否認すればいいのです。
前期原価算入交際費否認100万円(別表四 加算留保)
さらに翌期の「交際費の損金不算入」の計算上も、この原価算入交際費は支出交際費には含めず、交際費として計算には含めません。
このように、正しくは一度固定資産の取得価額に含めておいて、そのうち当期に損金不算入となった部分(上記の例ではその全額)を翌期に固定資産の取得価額からマイナスします。
本来はこのようにやるのが正しい処理ですが、いろいろとめんどくさいので最初から固定資産の取得価額から抜いて交際費として費用処理しておいても、それでトータルで支払う税額が大きく変わることは通常あまり考えにくいので、税務署もまず文句言わないだろうということです。
手抜き処理なので、厳密さを要求される場合にはお勧めしません。
このケースで、もしも期末資本金が1億円以下で、定額控除限度額600万円が使える場合には、もう少しややこしくて、当期に減算留保・翌期に固定資産から交際費勘定に振替えたあと加算留保する金額が違ってきます。
なぜならば、固定資産に含めた交際費100万円のうち、「交際費の損金不算入」で加算されてくるのは、100万円全額ではないからです。
この場合には、
交際費の損金不算入額× 固定資産に含まれた交際費/支出交際費の額
で計算した金額を当期に原価算入交際費として減算留保、翌期に加算留保します。
さらにその固定資産について当期に減価償却してしまった場合には・・・もうややこしいので省略させてください。
そんなわけで、どちらでやっても当期と翌期の法人税に与える影響がたいして変わらなければ、場合によっては手抜き処理もありかなと個人的には思います。
参考になれば幸いです。
えーとですね、例えば、固定資産の取得価額1,000万円、そのうち交際費となるものが100万円含まれているとします。
一方、当社の当期における交際費は、交際費勘定700万円、固定資産勘定に含まれているものが先ほどの100万円あるとします。
また、当社の期末資本金は2億円だとします。
(1)法人税の「交際費の損金不算入」の計算とそれに関連する申告調整
まず、固定資産の取得価額になっている交際費100万円については、資産計上されているのでそもそも会社の費用になっていません。
ということは、法人税法上もまだ損金にはなっていませんから、これを一度「減算」することにより、損金算入された状態にします。
(さもないと、損金になっていない交際費を「交際費の損金不算入」で加算してしまうことになるので、これはおかしい。)
イ.原価算入交際費100万円(別表四 減算留保)
これで、固定資産に含まれている交際費100万円は費用として損金経理されたのと全く同じ状態になりました。
引き続き、交際費の損金不算入の計算をします。
ロ.交際費の損金不算入
a.支出交際費の額 交際費勘定700万円+固定資産勘定100万円=800万円
b.定額控除限度額・・・資本金1億円超なのでなし。
c.交際費の損金不算入 a−b=800万円(別表四 加算社外流出)
資本金が1億円超なのですから、交際費は単純に全額加算ですね。
(2)翌期の会計上の調整
前の期に「原価算入交際費100万円(別表四 減算留保)」という調整をやっているので、この場合は必ず翌期において企業会計上、
交際費100万円 / 固定資産100万円
という仕訳をしなければなりません。
基本的に法人税法が企業会計に対して「仕訳しろ。」と指示することは通常まずないのですが、これは例外的にめずらしく税法が企業会計に対して干渉している例外的なケースです。
この仕訳をした場合、翌期においては企業会計上、交際費100万円を増加させたことになります。
しかし法人税法上は、この原価算入された交際費はもうすでに損金として処理済みなので、翌期における企業会計上の交際費を法人税の申告書上ではなかったものとします。
つまり、翌期の交際費を否認すればいいのです。
前期原価算入交際費否認100万円(別表四 加算留保)
さらに翌期の「交際費の損金不算入」の計算上も、この原価算入交際費は支出交際費には含めず、交際費として計算には含めません。
このように、正しくは一度固定資産の取得価額に含めておいて、そのうち当期に損金不算入となった部分(上記の例ではその全額)を翌期に固定資産の取得価額からマイナスします。
本来はこのようにやるのが正しい処理ですが、いろいろとめんどくさいので最初から固定資産の取得価額から抜いて交際費として費用処理しておいても、それでトータルで支払う税額が大きく変わることは通常あまり考えにくいので、税務署もまず文句言わないだろうということです。
手抜き処理なので、厳密さを要求される場合にはお勧めしません。
このケースで、もしも期末資本金が1億円以下で、定額控除限度額600万円が使える場合には、もう少しややこしくて、当期に減算留保・翌期に固定資産から交際費勘定に振替えたあと加算留保する金額が違ってきます。
なぜならば、固定資産に含めた交際費100万円のうち、「交際費の損金不算入」で加算されてくるのは、100万円全額ではないからです。
この場合には、
交際費の損金不算入額× 固定資産に含まれた交際費/支出交際費の額
で計算した金額を当期に原価算入交際費として減算留保、翌期に加算留保します。
さらにその固定資産について当期に減価償却してしまった場合には・・・もうややこしいので省略させてください。
そんなわけで、どちらでやっても当期と翌期の法人税に与える影響がたいして変わらなければ、場合によっては手抜き処理もありかなと個人的には思います。
参考になれば幸いです。
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