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損金算入と損金経理

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損金算入と損金経理

2010/10/28 12:33

おはつ

回答数:10

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税務の解説などを読んでいるとき、しばしば混乱に陥るのですが、「損金に算入する」というのと「損金経理する」というのは全くの同義語なのでしょうか。

「100円分(何であるかは別にして)を損金に算入する」という意味は、所謂課税所得を100円減じる結果(もしくは効果)を生じるのは明らかですよね。疑いようはないと思います。

一方、「100円分(何であるかは別にして)を損金経理する」というのは、上記と全く同じ結果(もしくは効果)を生じることを意味しているのでしょうか。

初心者には、非常に紛らわしくて困っています(あるいは紛らう余地がないのかもしれませんが)。
どうか、解明をお願いします。

(追記)いったい、「損金経理」ってのは何なんでしょうか。日本語的には「損金に算入するために経理する(帳簿に書く)」としか読めないですよねぇ。

税務の解説などを読んでいるとき、しばしば混乱に陥るのですが、「損金に算入する」というのと「損金経理する」というのは全くの同義語なのでしょうか。

「100円分(何であるかは別にして)を損金に算入する」という意味は、所謂課税所得を100円減じる結果(もしくは効果)を生じるのは明らかですよね。疑いようはないと思います。

一方、「100円分(何であるかは別にして)を損金経理する」というのは、上記と全く同じ結果(もしくは効果)を生じることを意味しているのでしょうか。

初心者には、非常に紛らわしくて困っています(あるいは紛らう余地がないのかもしれませんが)。
どうか、解明をお願いします。

(追記)いったい、「損金経理」ってのは何なんでしょうか。日本語的には「損金に算入するために経理する(帳簿に書く)」としか読めないですよねぇ。

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回答

Re: 損金算入と損金経理

2010/10/28 13:45

しかしか

さらにすごい常連さん

編集

 世に法人税の解説本なるものはたくさんありますが、本当にわかりやすく解説している本はめったにありません。
「損金」「益金」「損金経理」「益金経理」「損金算入」「益金算入」・・・
いずれも法人税法用語ですが、その概念をうまく捕まえるのが初学者にとってまず最初の難関です。
私も法人税の本を読んでいると、何でこんなにわかりにくく解説するの?という疑問をいつも感じます。(笑)


私なりの理解ではありますが、ちょっと書いてみます。

(1)「益金」「損金」
 「益金」とは、法人税法上の収益のことをいい、企業会計における収益とおおむね9割くらい同じものです。
一方、「損金」とは法人税法上の費用(正確には原価・費用・損失)をいい、企業会計における費用(原価・費用・損失)とおおむね9割くらい同じものです。

ちなみに会計では、収益から費用を引いた残りを「当期純利益」といいますが、法人税では益金から損金を引いた残りを「所得」といいます。
したがって、当期純利益と所得もまたおおむね同じものです。


(2)「益金経理」「損金経理」
 企業会計において損益計算書に計上された収益・費用のことをいいます。

損益計算書において当期純利益の計算上、プラスの計算要素となっているものを「益金経理」しているといいます。
P/Lに記載されている売上とか受取利息は益金経理されているものです。

反対に、マイナスの計算要素となっているものを「損金経理」しているといいます。
P/Lに記載された売上原価とか販売費及び一般管理費等々がこれにあたります。

ここでちょっとクイズです。
Q:損益計算書の末尾にある「法人税・住民税及び事業税」はどうなりますか?
A:当期純利益の計算上、マイナスの計算要素ですから、当然「損金経理」されていることになります。
ただし、それが法人税法上「損金」として認められるかどうかはまた別の話です。

ここでいう「益金経理」「損金経理」とは、企業会計上、損益計算書に織り込まれているものを指します。
つまり、損益計算書に載っていることを、「〜〜経理」されているというのです。
ようは、企業会計上の処理をいっているにすぎないのです。

なお、「益金経理」されたものがすべて法人税法上の「益金」になるとは限りません。
同様に、「損金経理」されたものがすべて法人税法上の「損金」になるとは限りません。

「益金経理」「損金経理」とは、損益計算書上の形式面を指しているともいえます。
これに対して法人税法上、「益金」「損金」になるかどうかは法人税の本質論であるともいえます。


(3)「益金算入」「損金算入」
 法人税の世界では、まず最初に、企業会計が損益計算書において収益・費用としたもの(つまり「益金経理」「損金経理」されたもの)については、無条件にまず一度「益金」「損金」として受け入れます。
そのことを示しているのが、別表4(法人の所得計算)のスタートが「当期純利益」から出発している点にあらわれています。

法人税の計算上、まず最初に企業会計の「当期純利益」を法人の所得として認めるのです。(だから別表4の最初に書くわけです。)

ということは、その当期純利益よりも上の計算要素(損益計算書の収益・費用)についても、自動的に全部「益金」「損金」としてまずは一度認めていることになります。

もちろん、実際にはこれですべて終わりになることはなく、「収益」と「益金」のズレ、「費用」と「損金」のズレが多少は必ず生じていますので、それを別表4で再度微調整しなければなりません。


 法人税法上、当期の「益金」となるものがすべて正確に損益計算書で「益金経理」されていれば問題ありません。
しかし、もしも不足があれば、「益金」を追加しなくてはなりません。
そこで別表4において収益計上漏れとして加算調整します。

たとえば、損益計算書の収益が90だったとします。
しかし法人税法上は、当期における「益金」は100だったとします。
ということは、益金はあと10不足していることになりますから、別表4において、10加算調整することになります。
こうして、益金経理90+別表4加算調整10、という計算によって当期における益金は、正しく100となるわけです。

このように、益金100を法人税の申告書に計上することを「益金算入」するといいます。
今回の例では、損益計算書で90が益金算入され、別表4で10が益金算入されたことになります。


「損金算入」についても同様です。
企業会計が損益計算書において「損金経理」することによって、法人税法上、その同額が「損金算入」されています。
しかし不足があれば、別表4において減算調整することによって不足分を追加で「損金算入」することになります。
反対に費用の過大があれば、損金経理されてしまった過大損金額について、過大分を加算調整することにより損金経理された損金を減額し、間違った「損金算入」額を本来あるべき正しい「損金算入」額に修正します。

<結論>
「益金算入」とは、「P/Lの益金経理額」と「別表4で調整される益金」の両方をいいます。
「損金算入」とは、「P/Lの損金経理額」と「別表4で調整される損金」の両方をいいます。



というわけで、法人の所得の計算上、
「100円分(何であるかは別にして)を損金に算入する」という意味は、
「損益計算書あるいは別表4でマイナス100円する」という意味になります。

一方、「100円分(何であるかは別にして)を損金経理する」という意味は、
「損益計算書でマイナス100円する」という意味になります。


参考になれば幸いです。

 世に法人税の解説本なるものはたくさんありますが、本当にわかりやすく解説している本はめったにありません。
「損金」「益金」「損金経理」「益金経理」「損金算入」「益金算入」・・・
いずれも法人税法用語ですが、その概念をうまく捕まえるのが初学者にとってまず最初の難関です。
私も法人税の本を読んでいると、何でこんなにわかりにくく解説するの?という疑問をいつも感じます。(笑)


私なりの理解ではありますが、ちょっと書いてみます。

(1)「益金」「損金」
 「益金」とは、法人税法上の収益のことをいい、企業会計における収益とおおむね9割くらい同じものです。
一方、「損金」とは法人税法上の費用(正確には原価・費用・損失)をいい、企業会計における費用(原価・費用・損失)とおおむね9割くらい同じものです。

ちなみに会計では、収益から費用を引いた残りを「当期純利益」といいますが、法人税では益金から損金を引いた残りを「所得」といいます。
したがって、当期純利益と所得もまたおおむね同じものです。


(2)「益金経理」「損金経理
 企業会計において損益計算書に計上された収益・費用のことをいいます。

損益計算書において当期純利益の計算上、プラスの計算要素となっているものを「益金経理」しているといいます。
P/Lに記載されている売上とか受取利息は益金経理されているものです。

反対に、マイナスの計算要素となっているものを「損金経理」しているといいます。
P/Lに記載された売上原価とか販売費及び一般管理費等々がこれにあたります。

ここでちょっとクイズです。
Q:損益計算書の末尾にある「法人税・住民税及び事業税」はどうなりますか?
A:当期純利益の計算上、マイナスの計算要素ですから、当然「損金経理」されていることになります。
ただし、それが法人税法上「損金」として認められるかどうかはまた別の話です。

ここでいう「益金経理」「損金経理」とは、企業会計上、損益計算書に織り込まれているものを指します。
つまり、損益計算書に載っていることを、「〜〜経理」されているというのです。
ようは、企業会計上の処理をいっているにすぎないのです。

なお、「益金経理」されたものがすべて法人税法上の「益金」になるとは限りません。
同様に、「損金経理」されたものがすべて法人税法上の「損金」になるとは限りません。

「益金経理」「損金経理」とは、損益計算書上の形式面を指しているともいえます。
これに対して法人税法上、「益金」「損金」になるかどうかは法人税の本質論であるともいえます。


(3)「益金算入」「損金算入」
 法人税の世界では、まず最初に、企業会計が損益計算書において収益・費用としたもの(つまり「益金経理」「損金経理」されたもの)については、無条件にまず一度「益金」「損金」として受け入れます。
そのことを示しているのが、別表4(法人の所得計算)のスタートが「当期純利益」から出発している点にあらわれています。

法人税の計算上、まず最初に企業会計の「当期純利益」を法人の所得として認めるのです。(だから別表4の最初に書くわけです。)

ということは、その当期純利益よりも上の計算要素(損益計算書収益・費用)についても、自動的に全部「益金」「損金」としてまずは一度認めていることになります。

もちろん、実際にはこれですべて終わりになることはなく、「収益」と「益金」のズレ、「費用」と「損金」のズレが多少は必ず生じていますので、それを別表4で再度微調整しなければなりません。


 法人税法上、当期の「益金」となるものがすべて正確に損益計算書で「益金経理」されていれば問題ありません。
しかし、もしも不足があれば、「益金」を追加しなくてはなりません。
そこで別表4において収益計上漏れとして加算調整します。

たとえば、損益計算書収益が90だったとします。
しかし法人税法上は、当期における「益金」は100だったとします。
ということは、益金はあと10不足していることになりますから、別表4において、10加算調整することになります。
こうして、益金経理90+別表4加算調整10、という計算によって当期における益金は、正しく100となるわけです。

このように、益金100を法人税の申告書に計上することを「益金算入」するといいます。
今回の例では、損益計算書で90が益金算入され、別表4で10が益金算入されたことになります。


「損金算入」についても同様です。
企業会計が損益計算書において「損金経理」することによって、法人税法上、その同額が「損金算入」されています。
しかし不足があれば、別表4において減算調整することによって不足分を追加で「損金算入」することになります。
反対に費用の過大があれば、損金経理されてしまった過大損金額について、過大分を加算調整することにより損金経理された損金を減額し、間違った「損金算入」額を本来あるべき正しい「損金算入」額に修正します。

<結論>
「益金算入」とは、「P/Lの益金経理額」と「別表4で調整される益金」の両方をいいます。
「損金算入」とは、「P/Lの損金経理額」と「別表4で調整される損金」の両方をいいます。



というわけで、法人の所得の計算上、
「100円分(何であるかは別にして)を損金に算入する」という意味は、
損益計算書あるいは別表4でマイナス100円する」という意味になります。

一方、「100円分(何であるかは別にして)を損金経理する」という意味は、
損益計算書でマイナス100円する」という意味になります。


参考になれば幸いです。

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