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karzさんの大変考えられたご意見、大変有難く、考えさせられました。
PTAさん同様、わたくしが、特別損としなかったのは、今回の費用は次のように経営目的のための活動経費として発生したもので、どの企業にも発生する一般的、経常的支出と考えたためです。
・経営上、ある程度のリスクを承知で施策を実施し、この種の費用が発生することは、一般的、経常的なことと思われます。
・特別損と正常な経営目的の費用の違いは、それが経営者が目的意志を持って支出したものであるかどうかにあるように思います。
前者が受身的な外的条件により発生するのに対し、後者は、たとえ結果として所期の経営目的を達成できないままの支出としても、経営者の意思によって発生したものです。研究開発費など、後者のよい例でしょう。
では投資の失敗による損失はなぜ特損として処理できるのか。その理由は、原価計算基準では原価の本質(基準第1-3−(3))として「経営の目的は一定の財貨を生産し、販売することに」あると規定しているので、投資活動を経営の目的とは扱っていないため特損扱いとせざるを得ない。
・企業会計原則は、制定当時は当期業績主義で貫かれていたのが、その後商法との調整を図るために包括主義的な損益計算書に改められた。
それまでは、期間外損益(特別損益)項目は、利益剰余金計算書に計上することにし、留保利益の直接増減項目として扱っていた。つまり特別損は「法人税等未払金」並みの扱いをしており、企業にとって留保利益から当然マイナスすべき「仕方のない、防ぎようのない」性格のものと認識していたという歴史があります。
そのような規定の当否は別として、現行企業会計原則も特別損とは基本的にはそのような性格のものであり、よほどの損失でない限り特別損とはしないという思想が引き継がれているのではないか。勝手な想像ですが・・・。
ただ、以上とは反対に、特別損にすべきであるという理屈もいくらでもあげられるような気もします。
・仮に小企業であれば、1千万円という金額の大きさは気になるところです。ケタはずれに大きい損失を簡単に経営目的の支出といえるか。 「異常な」支出ではないか。
・今回の損失の発生について、詳しい情報なしに論じているが、費用発生過程に外部要因、他動的な要因が大きい場合は、特別損としなくてはならないのではないか・・・などなど。
いずれにしても、PTAさんお書きのとおり
>当該取引の詳細、企業の規模や実態、業界の慣例など>様々な要素を勘案して、最も真の損益計算に近いと思う>処理をすることが肝要であると思います。
今回の費用の発生原因、経営目的との関連性、上場会社かどうかを問わず株主に対する説明責任の果たし方などよくよく検討すべき問題と思います。
特別損にするか経常的費用とするかの会計原則などの基準がいまいち不明確であり、企業の恣意性の介入を批判されることもある問題ですので、監査役、その他経理専門家の判断を仰ぎ、処理をお願いしたいと思います。
最後に、今回の問題はわたしとしてもこれまで関心を持ってきた問題なので書き込みをしましたが、正直なところ正しいという確信はありません。いろいろ疑問も湧いてきます。
長い書込みとなってしまい済みません。みなさまのお教え、ご意見等ありましたら、よろしくお願いします。
[追記 10/21日PM]
わたくしの意見には反対となりますが、類似の費用を特別損としている例がありました。ご参考に掲げます。
■富士ソフトABC株式会社(東証一部<証券コード9749>)は平成18年3月期の連結及び個別決算において、下記のとおり特別損失を計上いたしますので、その概要をお知らせいたします。
記
1.特別損失の発生およびその内容
当社ではシステム開発・ソフトウェア開発に係るトラブルプロジェクト撲滅を目標に管理体制を強化して参りました。すべての継続中の案件について調査を実施いたしました結果、回収可能性の低い案件についてさらに厳格な再評価を行い処分を決定いたしました。処分対象となった仕掛品のうち、過年度発生費用2,648百万円については特別損失(仕掛品処分損)として処理いたしました。なお、本年度発生費用については従来どおり売上原価として処理しております。
karzさんの大変考えられたご意見、大変有難く、考えさせられました。
PTAさん同様、わたくしが、特別損としなかったのは、今回の費用は次のように経営目的のための活動経費として発生したもので、どの企業にも発生する一般的、経常的支出と考えたためです。
・経営上、ある程度のリスクを承知で施策を実施し、この種の費用が発生することは、一般的、経常的なことと思われます。
・特別損と正常な経営目的の費用の違いは、それが経営者が目的意志を持って支出したものであるかどうかにあるように思います。
前者が受身的な外的条件により発生するのに対し、後者は、たとえ結果として所期の経営目的を達成できないままの支出としても、経営者の意思によって発生したものです。研究開発費など、後者のよい例でしょう。
では投資の失敗による損失はなぜ特損として処理できるのか。その理由は、原価計算基準では原価の本質(基準第1-3−(3))として「経営の目的は一定の財貨を生産し、販売することに」あると規定しているので、投資活動を経営の目的とは扱っていないため特損扱いとせざるを得ない。
・企業会計原則は、制定当時は当期業績主義で貫かれていたのが、その後商法との調整を図るために包括主義的な損益計算書に改められた。
それまでは、期間外損益(特別損益)項目は、利益剰余金計算書に計上することにし、留保利益の直接増減項目として扱っていた。つまり特別損は「法人税等未払金」並みの扱いをしており、企業にとって留保利益から当然マイナスすべき「仕方のない、防ぎようのない」性格のものと認識していたという歴史があります。
そのような規定の当否は別として、現行企業会計原則も特別損とは基本的にはそのような性格のものであり、よほどの損失でない限り特別損とはしないという思想が引き継がれているのではないか。勝手な想像ですが・・・。
ただ、以上とは反対に、特別損にすべきであるという理屈もいくらでもあげられるような気もします。
・仮に小企業であれば、1千万円という金額の大きさは気になるところです。ケタはずれに大きい損失を簡単に経営目的の支出といえるか。 「異常な」支出ではないか。
・今回の損失の発生について、詳しい情報なしに論じているが、費用発生過程に外部要因、他動的な要因が大きい場合は、特別損としなくてはならないのではないか・・・などなど。
いずれにしても、PTAさんお書きのとおり
>当該取引の詳細、企業の規模や実態、業界の慣例など>様々な要素を勘案して、最も真の損益計算に近いと思う>処理をすることが肝要であると思います。
今回の費用の発生原因、経営目的との関連性、上場会社かどうかを問わず株主に対する説明責任の果たし方などよくよく検討すべき問題と思います。
特別損にするか経常的費用とするかの会計原則などの基準がいまいち不明確であり、企業の恣意性の介入を批判されることもある問題ですので、監査役、その他経理専門家の判断を仰ぎ、処理をお願いしたいと思います。
最後に、今回の問題はわたしとしてもこれまで関心を持ってきた問題なので書き込みをしましたが、正直なところ正しいという確信はありません。いろいろ疑問も湧いてきます。
長い書込みとなってしまい済みません。みなさまのお教え、ご意見等ありましたら、よろしくお願いします。
[追記 10/21日PM]
わたくしの意見には反対となりますが、類似の費用を特別損としている例がありました。ご参考に掲げます。
■富士ソフトABC株式会社(東証一部<証券コード9749>)は平成18年3月期の連結及び個別決算において、下記のとおり特別損失を計上いたしますので、その概要をお知らせいたします。
記
1.特別損失の発生およびその内容
当社ではシステム開発・ソフトウェア開発に係るトラブルプロジェクト撲滅を目標に管理体制を強化して参りました。すべての継続中の案件について調査を実施いたしました結果、回収可能性の低い案件についてさらに厳格な再評価を行い処分を決定いたしました。処分対象となった仕掛品のうち、過年度発生費用2,648百万円については特別損失(仕掛品処分損)として処理いたしました。なお、本年度発生費用については従来どおり売上原価として処理しております。
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