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事故で資産(車両)に損失を生じ、それに対する保険金を収入した話ですね。
このようなケースでは、保険差益が生じている可能性がありますが、これについては法人税と所得税では根本的に考え方が違いますので、混同しないように注意が必要です。
今回のケースでは、大きく分けて2つの取引を処理しなければなりません。
1.固定資産(事業用車両)の損失の処理
2.代わりに取得した資産(代替資産)の処理
の2つがあります。
個人事業者なので、所得税法のほうの処理をしなければなりません。
1.まず最初に、おせっかいかもしれませんが、事故による事業用車両の損失の処理は済みましたか?
事故により全損した事業用車両の簿価(年初簿価66、事故直前の簿価60)、事故関連の支出が10、損害保険会社からの保険金収入が100あったとしましょう。
(事故直前の簿価とは、年初簿価から「1月1日から事故直前までの減価償却費」を引いた残りの残高を言います。
計算方法は、まず1年分の減価償却費を計算し、次にこれを月割りします。
例えば、1年分の減価償却費が10、事故が8月にあったとすると、10×12分の8=6となります。
これを年初簿価66から差し引いて、66-6=60が事故直前の簿価となります。)
保険金収入100−失われた車両資産の価額(事故直前の簿価)60−事故関連支出10=保険差益30
となります。
所得税には「保険差益の圧縮記帳」というものが存在しません。
ここが法人税と違う大きな点です。
正確に言うと、事故による保険金収入は所得税の非課税所得となりますので、事業所得の総収入金額に算入しません。
ただし、事故による資産損失じたいもなかったことになるため、失われた車両資産の価額(事故直前の簿価)60も事故関連支出10も必要経費に算入することはできません。
正確にいうと、収入100も損失(60+10=70)もなし、ということは、保険差益部分30が事実上の非課税であると言えるでしょう。
個人事業者の仕訳
減価償却費 6 / 車両 6 ・・・月割りの減価償却費
事業主勘定 60 / 車両 60 ・・・事故直前の車両の簿価を振替
事業主勘定 10 / 現金預金 10 ・・・事故関連支出の支払い
現金預金 100 / 事業主勘定 100 ・・・保険金の受取り
借入金** / 現金預金** ・・・車のローンの返済
(事業主勘定は、事業主貸、事業主借 としてもよい。)
これが逆に保険金収入のほうが損失の金額よりも小さく、差益ではなく差損となっているような場合には、その差額の損失部分は、事業所得の計算上、必要経費となります。
例
失われた車両資産の価額(事故直前の簿価)60+事故関連支出10−保険金収入50=資産損失20
この資産損失20部分を、まあ、雑損失あたりの科目で事業所得の必要経費にすればOKです。
減価償却費 6 / 車両 6 ・・・月割りの減価償却費
雑損失 60 / 車両 60
雑損失 10 / 現金預金 10 ・・・事故関連支出の支払い
現金預金 50 / 雑損失 50 ・・・保険金の受取り
2.代わりに取得した新車両の処理
所得税法では、事故による損害保険金(保険差益)がそもそも非課税なので、当然ですが、代替資産(代わりに取得した資産)について法人のように保険差益の圧縮記帳というものは存在しません。
ごくごく普通に新規取得の仕訳をして終わりです。
(そもそも圧縮記帳制度というものは、課税の繰延べをするためのものなので、課税されないもの(非課税保険金収入)については、当然、課税の繰延べをすることはできません。)
車両本体+付属品・・・車両1,207,927円 /
自動車税・・・租税公課3,200円 /
自動車重量税・・・租税公課37,800円 /
自賠責保険・・・損害保険料28,530円 /
検査登録手続代行費用・・・支払手数料20,832円 /
納車費用・・・支払手数料9,975円 /
ディーラー延長保証料・・・支払手数料26,586円 /
車庫証明預り法定費用・・・租税公課2,700円 /
検査登録預り法定費用・・・租税公課3,540円 /
預りリサイクル預託金・・・支払手数料11,580円 /
資金管理料金・・・支払手数料480円 /
/ 借入金又は未払金1,000,000円
/ 現金預金353,150円
といった感じで仕訳をすればいいと思います。
事故で資産(車両)に損失を生じ、それに対する保険金を収入した話ですね。
このようなケースでは、保険差益が生じている可能性がありますが、これについては法人税と所得税では根本的に考え方が違いますので、混同しないように注意が必要です。
今回のケースでは、大きく分けて2つの取引を処理しなければなりません。
1.固定資産(事業用車両)の損失の処理
2.代わりに取得した資産(代替資産)の処理
の2つがあります。
個人事業者なので、所得税法のほうの処理をしなければなりません。
1.まず最初に、おせっかいかもしれませんが、事故による事業用車両の損失の処理は済みましたか?
事故により全損した事業用車両の簿価(年初簿価66、事故直前の簿価60)、事故関連の支出が10、損害保険会社からの保険金収入が100あったとしましょう。
(事故直前の簿価とは、年初簿価から「1月1日から事故直前までの減価償却費」を引いた残りの残高を言います。
計算方法は、まず1年分の減価償却費を計算し、次にこれを月割りします。
例えば、1年分の減価償却費が10、事故が8月にあったとすると、10×12分の8=6となります。
これを年初簿価66から差し引いて、66-6=60が事故直前の簿価となります。)
保険金収入100−失われた車両資産の価額(事故直前の簿価)60−事故関連支出10=保険差益30
となります。
所得税には「保険差益の圧縮記帳」というものが存在しません。
ここが法人税と違う大きな点です。
正確に言うと、事故による保険金収入は所得税の非課税所得となりますので、事業所得の総収入金額に算入しません。
ただし、事故による資産損失じたいもなかったことになるため、失われた車両資産の価額(事故直前の簿価)60も事故関連支出10も必要経費に算入することはできません。
正確にいうと、収入100も損失(60+10=70)もなし、ということは、保険差益部分30が事実上の非課税であると言えるでしょう。
個人事業者の仕訳
減価償却費 6 / 車両 6 ・・・月割りの減価償却費
事業主勘定 60 / 車両 60 ・・・事故直前の車両の簿価を振替
事業主勘定 10 / 現金預金 10 ・・・事故関連支出の支払い
現金預金 100 / 事業主勘定 100 ・・・保険金の受取り
借入金** / 現金預金** ・・・車のローンの返済
(事業主勘定は、事業主貸、事業主借 としてもよい。)
これが逆に保険金収入のほうが損失の金額よりも小さく、差益ではなく差損となっているような場合には、その差額の損失部分は、事業所得の計算上、必要経費となります。
例
失われた車両資産の価額(事故直前の簿価)60+事故関連支出10−保険金収入50=資産損失20
この資産損失20部分を、まあ、雑損失あたりの科目で事業所得の必要経費にすればOKです。
減価償却費 6 / 車両 6 ・・・月割りの減価償却費
雑損失 60 / 車両 60
雑損失 10 / 現金預金 10 ・・・事故関連支出の支払い
現金預金 50 / 雑損失 50 ・・・保険金の受取り
2.代わりに取得した新車両の処理
所得税法では、事故による損害保険金(保険差益)がそもそも非課税なので、当然ですが、代替資産(代わりに取得した資産)について法人のように保険差益の圧縮記帳というものは存在しません。
ごくごく普通に新規取得の仕訳をして終わりです。
(そもそも圧縮記帳制度というものは、課税の繰延べをするためのものなので、課税されないもの(非課税保険金収入)については、当然、課税の繰延べをすることはできません。)
車両本体+付属品・・・車両1,207,927円 /
自動車税・・・租税公課3,200円 /
自動車重量税・・・租税公課37,800円 /
自賠責保険・・・損害保険料28,530円 /
検査登録手続代行費用・・・支払手数料20,832円 /
納車費用・・・支払手数料9,975円 /
ディーラー延長保証料・・・支払手数料26,586円 /
車庫証明預り法定費用・・・租税公課2,700円 /
検査登録預り法定費用・・・租税公課3,540円 /
預りリサイクル預託金・・・支払手数料11,580円 /
資金管理料金・・・支払手数料480円 /
/ 借入金又は未払金1,000,000円
/ 現金預金353,150円
といった感じで仕訳をすればいいと思います。
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