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つづき
個人時代の開業費(繰延資産)は、あくまでも個人時代の開業に要した費用を繰延資産として経理しているものであって、法人の開業費用では全然ありませんので、法人側の繰延資産として資産計上することはできません。
また、繰延資産とは、その本質は「費用」であって、財産としての価値があるものではありませんので、会社にとっては他人の費用を自社の資産として計上することになり、適切な会計とはいえません。
よって、個人時代の開業費を新設法人に引き継がせることはできません。
ただし、個人商店の屋号などのブランドを会社に引き継がせる場合、そのブランド力を「営業権(のれん)」として評価し、それを法人側で資産計上するという方法はあります。
この場合、その個人事業者時代に培われていた○○ブランドが存在することを、根拠となる資料(個人の過去の決算書など)をもとに数値化しなければなりません。
税務署を説得できるだけの根拠資料をちゃんとそろえられないと、法人側において営業権(のれん)の資産計上が認められず、寄附金又は役員賞与とされてしまう危険性があります。
このあたりはちょっとややこしいので、そういうことに詳しい税理士や会計士の先生に相談してください。
上記の問題点がクリアできれば、開業費は引き継げませんが、それと同額程度の営業権(のれん)を個人から法人に引継がせた場合、実質的には開業費を引き継がせたのとほぼ同じ効果が得られます。
(1)個人側(営業権(のれん代)は35とする。)
未収金 135 / 現金預金 10
/ 売掛金 20
/ 建物 30
/ 器具備品 25
/ 売上 15
/ 営業権売却益35
さらに個人の決算において、開業費を全額償却して費用化します。
もしも開業費の簿価がたまたま偶然にも営業権売却益35と同額であれば、
開業費償却35 / 開業費35
と仕訳してその全額を必要経費にします。
上記の仕訳により、収益に計上されるのは、商品売上高15だけですね。
(営業権売却益35は、開業費償却35と相殺されるので全体としてはなし。)
-----------------------------------------------------------
これがもしも開業費35を法人に引き継がせたと仮定した仕訳をしてみましょう。
(実際にはこの仕訳はしません。)
未収金 135 / 現金預金 10
/ 売掛金 20
/ 建物 30
/ 器具備品 25
/ 売上 15
/ 開業費 35
この仕訳により開業費は存在しなくなりますので、開業費償却はありません。
したがって、この仕訳をした場合における収益は、商品売上高15のみとなります。
前述の仕訳と実質的には同じですね。
----------------------------------------------------------
※営業権売却益を所得税の確定申告の際、どうするかは税理士の先生にご相談ください。
私は事業用固定資産の譲渡による所得として申告するのがいいんじゃないかなと思います。
(2)法人側
現金預金 10 / 未払金 135
売掛金 20 /
建物 30 /
車両 25 /
のれん 35 /
仕入 15 /
参考になれば幸いです。
つづき
個人時代の開業費(繰延資産)は、あくまでも個人時代の開業に要した費用を繰延資産として経理しているものであって、法人の開業費用では全然ありませんので、法人側の繰延資産として資産計上することはできません。
また、繰延資産とは、その本質は「費用」であって、財産としての価値があるものではありませんので、会社にとっては他人の費用を自社の資産として計上することになり、適切な会計とはいえません。
よって、個人時代の開業費を新設法人に引き継がせることはできません。
ただし、個人商店の屋号などのブランドを会社に引き継がせる場合、そのブランド力を「営業権(のれん)」として評価し、それを法人側で資産計上するという方法はあります。
この場合、その個人事業者時代に培われていた○○ブランドが存在することを、根拠となる資料(個人の過去の決算書など)をもとに数値化しなければなりません。
税務署を説得できるだけの根拠資料をちゃんとそろえられないと、法人側において営業権(のれん)の資産計上が認められず、寄附金又は役員賞与とされてしまう危険性があります。
このあたりはちょっとややこしいので、そういうことに詳しい税理士や会計士の先生に相談してください。
上記の問題点がクリアできれば、開業費は引き継げませんが、それと同額程度の営業権(のれん)を個人から法人に引継がせた場合、実質的には開業費を引き継がせたのとほぼ同じ効果が得られます。
(1)個人側(営業権(のれん代)は35とする。)
未収金 135 / 現金預金 10
/ 売掛金 20
/ 建物 30
/ 器具備品 25
/ 売上 15
/ 営業権売却益35
さらに個人の決算において、開業費を全額償却して費用化します。
もしも開業費の簿価がたまたま偶然にも営業権売却益35と同額であれば、
開業費償却35 / 開業費35
と仕訳してその全額を必要経費にします。
上記の仕訳により、収益に計上されるのは、商品売上高15だけですね。
(営業権売却益35は、開業費償却35と相殺されるので全体としてはなし。)
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これがもしも開業費35を法人に引き継がせたと仮定した仕訳をしてみましょう。
(実際にはこの仕訳はしません。)
未収金 135 / 現金預金 10
/ 売掛金 20
/ 建物 30
/ 器具備品 25
/ 売上 15
/ 開業費 35
この仕訳により開業費は存在しなくなりますので、開業費償却はありません。
したがって、この仕訳をした場合における収益は、商品売上高15のみとなります。
前述の仕訳と実質的には同じですね。
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※営業権売却益を所得税の確定申告の際、どうするかは税理士の先生にご相談ください。
私は事業用固定資産の譲渡による所得として申告するのがいいんじゃないかなと思います。
(2)法人側
現金預金 10 / 未払金 135
売掛金 20 /
建物 30 /
車両 25 /
のれん 35 /
仕入 15 /
参考になれば幸いです。
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