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>今回、弊社の子会社が赤字決算を迎えようとしています。
親会社は黒字決算なので、社長が連結決算したらどうだろう?
と言って来ました。
連結決算をするにあたり、メリットとデメリットを教えて頂きたいのですが
回答:
有価証券報告書を提出していない会社を前提として整理してみました(有価証券報告書を提出している会社は連結決算が義務付けられています)。
<メリット>
1、法律上連結決算が強制されている場合には、適法な処理が可能となる。この点は当然のことであり、メリットとはいえないと思うが・・・。
2、グループの経営成績、財政状態を的確に把握できる。その結果、会社や決算書の対外的信用力が増すと思われる。
3、会計の人材を育成できる。
<デメリット>
1、少なからぬ費用がかかる。
会社法上連結決算するためには、「会計監査人設置会社」でなければならない=監査法人又は公認会計士に監査を依頼することが必要(その他の者が会計監査人になることはできない)=そのための報酬の支払いが毎年必要ということ。さらに、会計監査に対応するための事務負担を考えておく必要がある。会計監査人が工場や支店に出向いて監査をしたいといえば、その準備、同行等が必要。
会社法上の連結決算ではなく(=会計監査人を設置しないで)法律とは無関係に任意に連結決算するのであれば、会計監査人に係わる費用は不要。
参考:会社法 第四百四十四条
会計監査人設置会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類(当該会計監査人設置会社及びその子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)を作成することができる。
2、正式に連結決算するにはかなり高度な会計知識が必要=社内に人材がいなければ、外部の人(会計士レベルの高度の知識を有する人)に費用を払って作成や指導を依頼する必要がある。この場合の連結決算書を作成する外部の人は、上記の会計監査人とは別の者であることが必要。
法律とは無関係に任意に連結するのであれば、簡便な連結にとどめ、適当なレベルの知識でも対応が可能であるが、導入当初は指導を受けることが必要と思われる。
3、監査役を置かない株式会社も認められているが、会計監査人設置会社では必ず監査役を設置することが必要。
参考:
(取締役会等の設置義務等)
会社法 第三百二十七条
3 会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
会社法には、他にも会計監査人設置会社の特例があるので、それへの対応が必要。会計監査人を設置すれば、その名前等を登記することも必要。決算日程や計算書類の承認方法も変わってくる。
4、個別の決算においても会計基準の遵守が必要。いわゆる税務基準は不可。これはデメリットというべきものではないと思いますが・・・
<注意>
「連結決算」と「連結納税」はまったく別の制度であり、連結決算を行っても納税額は変わらない。連結納税を行えば、質問のケースでは納税額は少なくなると思われるが(本当に少なくなるかは、状況がわからないので何ともいえない)、税理士の報酬が値上げされるのではないかと思われるので、全体として得になるかはわからないと思われる。また、毎年、一方が赤字他方が黒字となるわけではないであろうから、赤字と黒字の相殺によるメリットは限定的である。連結決算は監査法人又は会計士、連結納税は税理士の分野です。
会社は、次の組み合わせのいずれかを選択する必要がある。
個別決算−連結決算−連結申告 (連結決算する場合でも個別決算は必要)
個別決算−連結決算−単独申告 (同上)
個別決算−連結申告
個別決算−個別申告
まとめ:
思いつきで導入できるようなものでなく、それなりの覚悟と将来への見通しをもって判断すべきものと思われます。
以上
>今回、弊社の子会社が赤字決算を迎えようとしています。
親会社は黒字決算なので、社長が連結決算したらどうだろう?
と言って来ました。
連結決算をするにあたり、メリットとデメリットを教えて頂きたいのですが
回答:
有価証券報告書を提出していない会社を前提として整理してみました(有価証券報告書を提出している会社は連結決算が義務付けられています)。
<メリット>
1、法律上連結決算が強制されている場合には、適法な処理が可能となる。この点は当然のことであり、メリットとはいえないと思うが・・・。
2、グループの経営成績、財政状態を的確に把握できる。その結果、会社や決算書の対外的信用力が増すと思われる。
3、会計の人材を育成できる。
<デメリット>
1、少なからぬ費用がかかる。
会社法上連結決算するためには、「会計監査人設置会社」でなければならない=監査法人又は公認会計士に監査を依頼することが必要(その他の者が会計監査人になることはできない)=そのための報酬の支払いが毎年必要ということ。さらに、会計監査に対応するための事務負担を考えておく必要がある。会計監査人が工場や支店に出向いて監査をしたいといえば、その準備、同行等が必要。
会社法上の連結決算ではなく(=会計監査人を設置しないで)法律とは無関係に任意に連結決算するのであれば、会計監査人に係わる費用は不要。
参考:会社法 第四百四十四条
会計監査人設置会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類(当該会計監査人設置会社及びその子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)を作成することができる。
2、正式に連結決算するにはかなり高度な会計知識が必要=社内に人材がいなければ、外部の人(会計士レベルの高度の知識を有する人)に費用を払って作成や指導を依頼する必要がある。この場合の連結決算書を作成する外部の人は、上記の会計監査人とは別の者であることが必要。
法律とは無関係に任意に連結するのであれば、簡便な連結にとどめ、適当なレベルの知識でも対応が可能であるが、導入当初は指導を受けることが必要と思われる。
3、監査役を置かない株式会社も認められているが、会計監査人設置会社では必ず監査役を設置することが必要。
参考:
(取締役会等の設置義務等)
会社法 第三百二十七条
3 会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
会社法には、他にも会計監査人設置会社の特例があるので、それへの対応が必要。会計監査人を設置すれば、その名前等を登記することも必要。決算日程や計算書類の承認方法も変わってくる。
4、個別の決算においても会計基準の遵守が必要。いわゆる税務基準は不可。これはデメリットというべきものではないと思いますが・・・
<注意>
「連結決算」と「連結納税」はまったく別の制度であり、連結決算を行っても納税額は変わらない。連結納税を行えば、質問のケースでは納税額は少なくなると思われるが(本当に少なくなるかは、状況がわからないので何ともいえない)、税理士の報酬が値上げされるのではないかと思われるので、全体として得になるかはわからないと思われる。また、毎年、一方が赤字他方が黒字となるわけではないであろうから、赤字と黒字の相殺によるメリットは限定的である。連結決算は監査法人又は会計士、連結納税は税理士の分野です。
会社は、次の組み合わせのいずれかを選択する必要がある。
個別決算−連結決算−連結申告 (連結決算する場合でも個別決算は必要)
個別決算−連結決算−単独申告 (同上)
個別決算−連結申告
個別決算−個別申告
まとめ:
思いつきで導入できるようなものでなく、それなりの覚悟と将来への見通しをもって判断すべきものと思われます。
以上
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