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締め日翌日(例えば締め日20日の場合の21日)より当月末日までの期間の従業員給与は、確かに会社にとっての労働債務には違いありませんが、確定債務ではなく不確定債務となります。けだし、計算日が到来していないからです。
すなわち、労働債務は残業や懲戒、所得税の源泉徴収等によって増減するところ、これを計算する計算日がいわゆる締め日です。このとき、残業時間や懲戒処分の有無等は当該計算日到来まで事実の有無や数量等が確定しない不確定要素です(※1)。そのため、労働債務の額も同日まで確定しません。ゆえに、計算日未到来の時点での労働債務は金額未確定の不確定債務となります。
私法上このように取り扱われるため、税法上も、計算日未到来の時点での当該労働債務は不確定債務として取り扱われることになります。この場合に、税務上は未払費用として取り扱われます(※2)。したがって、締め日翌日より当月末日までの期間の従業員給与を税務上の損金に算入させるには、未払費用の算入要件を満たす必要があります。
無論、計算日未到来の時点で従業員が退職すれば、不確定要素の確定計算が可能となるため同人の労働債務は確定債務となります。会社倒産の場合も同様です。
※1 翌月1日から締め日までの間に給与計算規程改訂により基本給が改定される可能性まで考慮すると、基本給も含めたすべての要素が不確定要素といえます。もっとも、労働法を考慮すると当回支払分よりの基本給等の一律減額は非常に困難であり、会社規模や労働組合の組織力等を勘案すれば実質的に減額不可能といえる場合もあるかと思われます。そのような場合には、実務上、実質的減額不能である金額については計算日未到来でも確定債務として取り扱うことが可能と考えられます。もっとも、実質的減額不能の金額と減額可能の金額とを分離計算するのは、実務上煩雑であり厳格な基準を設けることも困難です。そのため、当局の者が必ずしも私法に精通していない事実を勘案すると、この場合でも原則に戻ってその全額を不確定債務とし未払費用による損金算入を検討するか、実質的減額不能の範囲を狭く解釈して当局に認容させるかといった対応が実戦的ではないでしょうか。
※2 会計上も未払費用の計上要件を満たします。この点については、前述しています。
締め日翌日(例えば締め日20日の場合の21日)より当月末日までの期間の従業員給与は、確かに会社にとっての労働債務には違いありませんが、確定債務ではなく不確定債務となります。けだし、計算日が到来していないからです。
すなわち、労働債務は残業や懲戒、所得税の源泉徴収等によって増減するところ、これを計算する計算日がいわゆる締め日です。このとき、残業時間や懲戒処分の有無等は当該計算日到来まで事実の有無や数量等が確定しない不確定要素です(※1)。そのため、労働債務の額も同日まで確定しません。ゆえに、計算日未到来の時点での労働債務は金額未確定の不確定債務となります。
私法上このように取り扱われるため、税法上も、計算日未到来の時点での当該労働債務は不確定債務として取り扱われることになります。この場合に、税務上は未払費用として取り扱われます(※2)。したがって、締め日翌日より当月末日までの期間の従業員給与を税務上の損金に算入させるには、未払費用の算入要件を満たす必要があります。
無論、計算日未到来の時点で従業員が退職すれば、不確定要素の確定計算が可能となるため同人の労働債務は確定債務となります。会社倒産の場合も同様です。
※1 翌月1日から締め日までの間に給与計算規程改訂により基本給が改定される可能性まで考慮すると、基本給も含めたすべての要素が不確定要素といえます。もっとも、労働法を考慮すると当回支払分よりの基本給等の一律減額は非常に困難であり、会社規模や労働組合の組織力等を勘案すれば実質的に減額不可能といえる場合もあるかと思われます。そのような場合には、実務上、実質的減額不能である金額については計算日未到来でも確定債務として取り扱うことが可能と考えられます。もっとも、実質的減額不能の金額と減額可能の金額とを分離計算するのは、実務上煩雑であり厳格な基準を設けることも困難です。そのため、当局の者が必ずしも私法に精通していない事実を勘案すると、この場合でも原則に戻ってその全額を不確定債務とし未払費用による損金算入を検討するか、実質的減額不能の範囲を狭く解釈して当局に認容させるかといった対応が実戦的ではないでしょうか。
※2 会計上も未払費用の計上要件を満たします。この点については、前述しています。
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