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Re: 個人事業の引継ぎ
2008/08/01 21:48
そうですね。
まず最初に考えることは、相続税の話なのか、所得税の話なのかを区別する必要があります。
相続税法上、相続税の計算をする場合において、亡くなった被相続人から相続により取得した財産の価格は、「時価」が原則です。
とはいえ、「時価」というのはかなり抽象的な概念なので、ハッキリわからん場合にはこうやって評価してくださいねというのが、相続税の財産評価通達です。
この相続税評価額というのは、相続税の計算をするときに使うものであり、所得税法上は関係ありません。
misugijunさんがあげていらっしゃる財産評価通達133の規定は、相続税の計算をするときに使う評価方法であり、所得税の計算には使わないものです。
所得税法上、相続(単純承認による相続)により相続人が取得した棚卸資産や固定資産は、「被相続人の取得時期と取得原価」を引き継ぐものとされています。
(所得税法第60条第1項及び2項)
注:ちょっと補足
相続があった場合、相続人は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つのうちいずれかを選択できます。
1.単純承認・・・亡くなった被相続人のすべての財産・債務を相続人が引き継ぐもの。通常相続といえばこれを指す。
2.限定承認・・・亡くなった被相続人の財産の範囲内で債務を引き継ぐもの。被相続人が債務超過の場合には、財産の合計額を超える部分の債務はカットされる。
ただし相続開始後3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。(かなり面倒。)
3.相続放棄・・・被相続人の財産・債務のすべてを引き継がない方法。
亡くなった被相続人にめぼしい財産がなく、借金だらけの場合にはこれを選択するのがよいですね。
ただし相続開始後3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。
さて、話を元に戻しますが、相続人が被相続人から棚卸資産や固定資産を引き継いだ場合、所得税法第60条第1項及び2項では次のように規定しています。
第60条
居住者が次に掲げる事由により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
1.贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
2.省略
2項
居住者が相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
この条文の意味は、居住者(相続人のこと)が相続(限定承認に係るものを除く。つまり単純承認のこと。)により取得した棚卸資産などの資産を、将来売却譲渡した場合における事業所得の金額の計算については、その者(相続人のこと)があたかもその棚卸資産を取得時から引き続きこれを所有していたものとみなしますよ、という意味です。
(取得時期を引き継ぐという意味)
第2項は、居住者(相続人のこと)が相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額の計算については、その者(相続人のこと)が当該資産をその被相続人の取得の時における価額に相当する金額(つまり取得原価)により取得したものとみなしますよという意味です。
(取得原価を引き継ぐという意味)
ようは、単純承認による相続があった場合、被相続人におけるその資産の取得時期と取得価額を、相続人は引き継ぎますよと言っているのです。
したがって、所得税法上、相続人が相続により取得した棚卸資産の金額は、被相続人の簿価(原価)で引き継ぐのです。
そうそう、それからすごく細かいことですが、被相続人の所得原価(簿価)というのは、その被相続人が税込経理方式を採用しているのでしたら税込金額、その被相続人が税抜経理方式を採用しているのでしたら税抜金額ということになります。
具体的には、被相続人の所得税の最後の確定申告(準確定申告)の損益計算書(収支計算書)に記載した期末棚卸高の数字を使えばよいと思います。
参考になれば幸いです。
そうですね。
まず最初に考えることは、相続税の話なのか、所得税の話なのかを区別する必要があります。
相続税法上、相続税の計算をする場合において、亡くなった被相続人から相続により取得した財産の価格は、「時価」が原則です。
とはいえ、「時価」というのはかなり抽象的な概念なので、ハッキリわからん場合にはこうやって評価してくださいねというのが、相続税の財産評価通達です。
この相続税評価額というのは、相続税の計算をするときに使うものであり、所得税法上は関係ありません。
misugijunさんがあげていらっしゃる財産評価通達133の規定は、相続税の計算をするときに使う評価方法であり、所得税の計算には使わないものです。
所得税法上、相続(単純承認による相続)により相続人が取得した棚卸資産や固定資産は、「被相続人の取得時期と取得原価」を引き継ぐものとされています。
(所得税法第60条第1項及び2項)
注:ちょっと補足
相続があった場合、相続人は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つのうちいずれかを選択できます。
1.単純承認・・・亡くなった被相続人のすべての財産・債務を相続人が引き継ぐもの。通常相続といえばこれを指す。
2.限定承認・・・亡くなった被相続人の財産の範囲内で債務を引き継ぐもの。被相続人が債務超過の場合には、財産の合計額を超える部分の債務はカットされる。
ただし相続開始後3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。(かなり面倒。)
3.相続放棄・・・被相続人の財産・債務のすべてを引き継がない方法。
亡くなった被相続人にめぼしい財産がなく、借金だらけの場合にはこれを選択するのがよいですね。
ただし相続開始後3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。
さて、話を元に戻しますが、相続人が被相続人から棚卸資産や固定資産を引き継いだ場合、所得税法第60条第1項及び2項では次のように規定しています。
第60条
居住者が次に掲げる事由により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
1.贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
2.省略
2項
居住者が相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
この条文の意味は、居住者(相続人のこと)が相続(限定承認に係るものを除く。つまり単純承認のこと。)により取得した棚卸資産などの資産を、将来売却譲渡した場合における事業所得の金額の計算については、その者(相続人のこと)があたかもその棚卸資産を取得時から引き続きこれを所有していたものとみなしますよ、という意味です。
(取得時期を引き継ぐという意味)
第2項は、居住者(相続人のこと)が相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額の計算については、その者(相続人のこと)が当該資産をその被相続人の取得の時における価額に相当する金額(つまり取得原価)により取得したものとみなしますよという意味です。
(取得原価を引き継ぐという意味)
ようは、単純承認による相続があった場合、被相続人におけるその資産の取得時期と取得価額を、相続人は引き継ぎますよと言っているのです。
したがって、所得税法上、相続人が相続により取得した棚卸資産の金額は、被相続人の簿価(原価)で引き継ぐのです。
そうそう、それからすごく細かいことですが、被相続人の所得原価(簿価)というのは、その被相続人が税込経理方式を採用しているのでしたら税込金額、その被相続人が税抜経理方式を採用しているのでしたら税抜金額ということになります。
具体的には、被相続人の所得税の最後の確定申告(準確定申告)の損益計算書(収支計算書)に記載した期末棚卸高の数字を使えばよいと思います。
参考になれば幸いです。
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No. | タイトル | 投稿者 | 投稿日時 |
---|---|---|---|
0 | predator | 2008/07/31 15:46 | |
1 | しかしか | 2008/07/31 21:46 | |
2 | misugijun | 2008/08/01 17:58 | |
3 | しかしか | 2008/08/01 21:48 | |
4 | misugijun | 2008/08/01 22:48 | |
5 | predator | 2008/08/04 10:44 |
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