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<例示>
個人A氏は、被相続人B氏の事業を相続(単純承認)により平成19年10月15日に継承した。
これに伴い被相続人から引き継いだ事業用固定資産は次のとおりである。
(参考:被相続人B氏の平成19年分の準確定申告書より)
(1)建物 取得日H5年1月 耐用年数39年、旧定率法償却率0.057 取得価額10,000,000円
減価償却累計額(H19年償却後)5,811,784円、年末簿価(未償却残高)4,188,216円
(2)車両運搬具 取得日H18年7月 耐用年数5年、旧定率法償却率0.369 取得価額2,000,000円
減価償却累計額(H19年償却後)870,532円、年末簿価(未償却残高)1,129,468円
(3)器具備品 取得日H19年5月 耐用年数10年、新定率法償却率0.250 取得価額500,000円
減価償却累計額(H19年償却後)62,500円、年末簿価(未償却残高)437,500円
個人事業者A氏の平成19年分の減価償却費はいくらになるか?
<回答>
1.考え方
単純承認により相続した事業用固定資産については、被相続人B氏の取得価額(未償却残高)及び取得時期を引継ぎます。
つまり、相続人であるA氏が以前からその固定資産を取得していたものとみなして考えるわけです。
したがって、まだ被相続人において減価償却されていない簿価部分のみを引き継ぎ、これを取得価額として計算開始すればよいのです。
また、「被相続人が取得した時期」に相続人A氏がその固定資産を取得していたものと考えるわけですから、「相続時」に新規取得したとは考えません。
したがって、中古資産の耐用年数の見積もりはできません。
それから、減価償却の方法は、被相続人から相続人へは引き継がれません。
さすがにそれは、相続人が自分で減価償却方法の選定の届出をださないといけません。
もしも選定の届出をしないと、所得税の法定償却方法である「定額法」になってしまいますが、ここでは相続人A氏が適正に「定率法」の選定届を提出したものとして考えてみます。
2.計算方法
(1)建物
建物については少々注意が必要です。
平成10年3月31日以前に取得した建物の償却方法は、「定率法」が選択できました。
しかし、平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は「定額法」しかありません。
ここでいう「平成10年4月1日以後に取得した建物」とは相続により取得した建物も含まれるのです。
そのため、平成19年10月に相続取得したA氏は、「定額法」により償却しなければなりません。
取得日H5年1月 耐用年数39年、旧定額法償却率0.026 取得価額4,188,216円
減価償却費=4,188,216×0.9×0.026×3月÷12月=24,501円
(2)車両運搬具 取得日H18年7月 耐用年数5年、旧定率法償却率0.369 取得価額1,129,468円
減価償却費=1,129,468×0.369×3月÷12月=104,193円
(3)器具備品 取得日H19年5月 耐用年数10年、新定率法償却率0.250 取得価額437,500円
減価償却費=437,500×0.250××3月÷12月=27,343円
<例示>
個人A氏は、被相続人B氏の事業を相続(単純承認)により平成19年10月15日に継承した。
これに伴い被相続人から引き継いだ事業用固定資産は次のとおりである。
(参考:被相続人B氏の平成19年分の準確定申告書より)
(1)建物 取得日H5年1月 耐用年数39年、旧定率法償却率0.057 取得価額10,000,000円
減価償却累計額(H19年償却後)5,811,784円、年末簿価(未償却残高)4,188,216円
(2)車両運搬具 取得日H18年7月 耐用年数5年、旧定率法償却率0.369 取得価額2,000,000円
減価償却累計額(H19年償却後)870,532円、年末簿価(未償却残高)1,129,468円
(3)器具備品 取得日H19年5月 耐用年数10年、新定率法償却率0.250 取得価額500,000円
減価償却累計額(H19年償却後)62,500円、年末簿価(未償却残高)437,500円
個人事業者A氏の平成19年分の減価償却費はいくらになるか?
<回答>
1.考え方
単純承認により相続した事業用固定資産については、被相続人B氏の取得価額(未償却残高)及び取得時期を引継ぎます。
つまり、相続人であるA氏が以前からその固定資産を取得していたものとみなして考えるわけです。
したがって、まだ被相続人において減価償却されていない簿価部分のみを引き継ぎ、これを取得価額として計算開始すればよいのです。
また、「被相続人が取得した時期」に相続人A氏がその固定資産を取得していたものと考えるわけですから、「相続時」に新規取得したとは考えません。
したがって、中古資産の耐用年数の見積もりはできません。
それから、減価償却の方法は、被相続人から相続人へは引き継がれません。
さすがにそれは、相続人が自分で減価償却方法の選定の届出をださないといけません。
もしも選定の届出をしないと、所得税の法定償却方法である「定額法」になってしまいますが、ここでは相続人A氏が適正に「定率法」の選定届を提出したものとして考えてみます。
2.計算方法
(1)建物
建物については少々注意が必要です。
平成10年3月31日以前に取得した建物の償却方法は、「定率法」が選択できました。
しかし、平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は「定額法」しかありません。
ここでいう「平成10年4月1日以後に取得した建物」とは相続により取得した建物も含まれるのです。
そのため、平成19年10月に相続取得したA氏は、「定額法」により償却しなければなりません。
取得日H5年1月 耐用年数39年、旧定額法償却率0.026 取得価額4,188,216円
減価償却費=4,188,216×0.9×0.026×3月÷12月=24,501円
(2)車両運搬具 取得日H18年7月 耐用年数5年、旧定率法償却率0.369 取得価額1,129,468円
減価償却費=1,129,468×0.369×3月÷12月=104,193円
(3)器具備品 取得日H19年5月 耐用年数10年、新定率法償却率0.250 取得価額437,500円
減価償却費=437,500×0.250××3月÷12月=27,343円
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