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分社化

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分社化

2008/07/08 12:15

ti-ko

すごい常連さん

回答数:5

編集

分社化する場合の税務上のメリットをおしえてください。
たとえば、製造部門、販売部門、支社などです。事業部門の分社に関して業績のいい部門とわるい部門を分社化した場合のメリット・デメリットを教えてください。税務だけでなくほかの面でも結構です。お手数かけます。

分社化する場合の税務上のメリットをおしえてください。
たとえば、製造部門、販売部門、支社などです。事業部門の分社に関して業績のいい部門とわるい部門を分社化した場合のメリット・デメリットを教えてください。税務だけでなくほかの面でも結構です。お手数かけます。

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回答

Re: 分社化

2008/07/08 13:53

しかしか

さらにすごい常連さん

編集

御社の業種や規模がわからず、質問者さんの立場もわからないのであんまり自信はありませんが、ちょっと考えてみた感じではこんなところしょうか。


<前提>
資本金5千万円、年間売上高約2千万円のA社が、本社事業部門、C支店、D支店をそれぞれ会社分割(新設分割)により独立させ、100%子会社であるB社とC社とD社を設立し、A社の事業の全部をそれぞれ移転させた。

その結果、各会社の状況は次のとおりとなった。
(話を単純にするため決算日はすべてA社と同じ日とする。)

A社(グループ親会社)資本金5千万円、年間売上高0円、従業員なし。
B社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
C社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
D社 資本金500万円、年間売上高約600万円。


1.会社組織上のメリット
・社長のイスが増えたことにより、出世の可能性が増え、やる気が増える。
・新規事業を展開する場合に、他の部門の顔色を伺う必要がないので、意思決定が迅速にできる。
・事業部門を売却する際、子会社株式の売却ですむため簡単に事業を売却譲渡できるようになる。
これにより、赤字部門を切り離して他社へ売却・整理し、黒字部門のみを残すことにより傾いた会社の経営を立て直すことができる。

デメリット
・あまりポストを増やすと人件費の高騰につながる危険性がある。
・会社分割について株主総会の承認を得なければならない。
・会社分割により新会社に移転する従業員の雇用条件を確保するなど、労使で合意を得なければならない。(会社分割を最初から解雇の道具とすることは不可。)



2.法人税法上のメリット
(1)法人税には軽減税率(資本金1億円以下の法人の場合、年間所得が800万円以下の部分については、軽減税率22%でよい。)というものがありますが、この適用を3回受けられるようになる。

今まではA社で軽減税率を1回しか受けられませんでしたが、今後はB社C社D社でそれぞれ受けられますから、グループ全体では合計3回受けられることになります。

(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます。
資本金が1億円以下の法人の場合、交際費の年額が400万円までの部分については10%のみが、400万円を超える部分についてはその全額が損金不算入となります。

分社後はB社で400万円までが10%損金不算入、C社で400万円までが10%損金不算入、D社で400万円までが10%損金不算入となりますので、全体で1,200万円までの交際費が10%の損金不算入ですむことになります。


デメリット
赤字が生じた場合に通算(相殺)できない。(極めて重大な欠点!)
本支店経営であれば、本支店間の黒字と赤字は相殺され、会社全体の最終利益についてのみ法人税が課税されましたが、別会社としてしまうとそれが相殺されません。
赤字会社の損失は黒字会社の利益と相殺できませんから、黒字部門(黒字会社)の利益についてはそのまま課税されてしまいます。

この問題を回避するためには、「連結納税制度」を利用するという手段があります。
こうすれば、赤字会社の赤字(損失)は黒字会社の黒字(利益)と相殺され、相殺後のグループ全体の利益に対してのみ課税されます。

しかし連結納税制度は、一度選択すると原則としてやめることができません。
そのため、(1)の「法人税の軽減税率」を各社ごとに適用することができなくなりますので、連結納税の対象とした法人がすべて黒字となった場合には不利になります。

また、(2)の交際費の損金不算入の規定もまとめて400万円まで10%となって終わりになります。(1社分しか適用できません。)

つまり、連結納税をすると(1)(2)のメリットは消えてしまいます。
したがって、分社後に連結納税をするくらいなら、最初から分社しなければよかったという結論になるかもしれません。(その会社の事情にもよりますが。)



3.消費税法上のメリット
消費税の納税がなくなる。

話の前提として、「その会社の売上高=その会社の消費税法上の課税売上高」として考えます。

消費税の納税義務の判定は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合に、消費税の納税義務者(課税事業者といいます。)となり、1,000万円以下であれば納税義務なし(免税事業者といいます。)となります。

新設分割をした場合、消費税の納税義務の判定は、親会社と子会社あわせて前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円を超えるかどうかで判定します。

したがって、A社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、A社のそれぞれその前々事業年度の課税売上高は、分割前のA社の課税売上高2,000万円になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.分割後3年目からは、A社の前々事業年度の課税売上高は0円となるものの、すべての子会社の前々事業年度の課税売上高合計が2,000万円(700万円+700万円+600万円)となるため、やっぱり課税事業者となり納税義務ありです。

しかし分割後は、そもそもA社に課税売上高がないので、いくら納税義務があったとしても、実際に納めるべき消費税額はありません。

B社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、B社の前々事業年度の課税売上は存在しません(0円)が、親会社であるA社の前々事業年度の課税売上高は、分割前の課税売上高2,000万円です。
したがって、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は2,000万円(B社0円+A社2,000万円)になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.しかし分割後3年目からは、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は、毎年約700万円(B社700万円+A社0円)であり、1,000万円以下なので、納税義務は以後ずっと生じません。

C社・D社の納税義務・・・上記B社と同じく分割後3年目からは納税義務なし。

よって、この例示の場合では、分割後3年目からはグループ全体で消費税の納税がまったく生じなくなります。

ちなみに消費税法には「連結納税」はありません。
あくまでも各社ごとに単独で申告納税します。
したがって、納税義務のあるA社は常にA社の消費税だけを申告納税しますので、納付税額は毎年ゼロとなります。


デメリット
・毎年課税売上高が1,000万円以下になるように組織をこまかく分割するのは大変。
・将来消費税法が改正された場合にはどうなるかわからない。


本当はまだ他にもあるのかもしれませんが私が思いつくところとしては、まあこんなところでしょうか。

御社の業種や規模がわからず、質問者さんの立場もわからないのであんまり自信はありませんが、ちょっと考えてみた感じではこんなところしょうか。


<前提>
資本金5千万円、年間売上高約2千万円のA社が、本社事業部門、C支店、D支店をそれぞれ会社分割(新設分割)により独立させ、100%子会社であるB社とC社とD社を設立し、A社の事業の全部をそれぞれ移転させた。

その結果、各会社の状況は次のとおりとなった。
(話を単純にするため決算日はすべてA社と同じ日とする。)

A社(グループ親会社)資本金5千万円、年間売上高0円、従業員なし。
B社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
C社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
D社 資本金500万円、年間売上高約600万円。


1.会社組織上のメリット
・社長のイスが増えたことにより、出世の可能性が増え、やる気が増える。
・新規事業を展開する場合に、他の部門の顔色を伺う必要がないので、意思決定が迅速にできる。
・事業部門を売却する際、子会社株式の売却ですむため簡単に事業を売却譲渡できるようになる。
これにより、赤字部門を切り離して他社へ売却・整理し、黒字部門のみを残すことにより傾いた会社の経営を立て直すことができる。

デメリット
・あまりポストを増やすと人件費の高騰につながる危険性がある。
・会社分割について株主総会の承認を得なければならない。
・会社分割により新会社に移転する従業員の雇用条件を確保するなど、労使で合意を得なければならない。(会社分割を最初から解雇の道具とすることは不可。)



2.法人税法上のメリット
(1)法人税には軽減税率(資本金1億円以下の法人の場合、年間所得が800万円以下の部分については、軽減税率22%でよい。)というものがありますが、この適用を3回受けられるようになる。

今まではA社で軽減税率を1回しか受けられませんでしたが、今後はB社C社D社でそれぞれ受けられますから、グループ全体では合計3回受けられることになります。

(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます。
資本金が1億円以下の法人の場合、交際費の年額が400万円までの部分については10%のみが、400万円を超える部分についてはその全額が損金不算入となります。

分社後はB社で400万円までが10%損金不算入、C社で400万円までが10%損金不算入、D社で400万円までが10%損金不算入となりますので、全体で1,200万円までの交際費が10%の損金不算入ですむことになります。


デメリット
赤字が生じた場合に通算(相殺)できない。(極めて重大な欠点!)
本支店経営であれば、本支店間の黒字と赤字は相殺され、会社全体の最終利益についてのみ法人税が課税されましたが、別会社としてしまうとそれが相殺されません。
赤字会社の損失は黒字会社の利益と相殺できませんから、黒字部門(黒字会社)の利益についてはそのまま課税されてしまいます。

この問題を回避するためには、「連結納税制度」を利用するという手段があります。
こうすれば、赤字会社の赤字(損失)は黒字会社の黒字(利益)と相殺され、相殺後のグループ全体の利益に対してのみ課税されます。

しかし連結納税制度は、一度選択すると原則としてやめることができません。
そのため、(1)の「法人税の軽減税率」を各社ごとに適用することができなくなりますので、連結納税の対象とした法人がすべて黒字となった場合には不利になります。

また、(2)の交際費の損金不算入の規定もまとめて400万円まで10%となって終わりになります。(1社分しか適用できません。)

つまり、連結納税をすると(1)(2)のメリットは消えてしまいます。
したがって、分社後に連結納税をするくらいなら、最初から分社しなければよかったという結論になるかもしれません。(その会社の事情にもよりますが。)



3.消費税法上のメリット
消費税の納税がなくなる。

話の前提として、「その会社の売上高=その会社の消費税法上の課税売上高」として考えます。

消費税の納税義務の判定は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合に、消費税の納税義務者(課税事業者といいます。)となり、1,000万円以下であれば納税義務なし(免税事業者といいます。)となります。

新設分割をした場合、消費税の納税義務の判定は、親会社と子会社あわせて前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円を超えるかどうかで判定します。

したがって、A社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、A社のそれぞれその前々事業年度の課税売上高は、分割前のA社の課税売上高2,000万円になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.分割後3年目からは、A社の前々事業年度の課税売上高は0円となるものの、すべての子会社の前々事業年度の課税売上高合計が2,000万円(700万円+700万円+600万円)となるため、やっぱり課税事業者となり納税義務ありです。

しかし分割後は、そもそもA社に課税売上高がないので、いくら納税義務があったとしても、実際に納めるべき消費税額はありません。

B社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、B社の前々事業年度の課税売上は存在しません(0円)が、親会社であるA社の前々事業年度の課税売上高は、分割前の課税売上高2,000万円です。
したがって、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は2,000万円(B社0円+A社2,000万円)になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.しかし分割後3年目からは、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は、毎年約700万円(B社700万円+A社0円)であり、1,000万円以下なので、納税義務は以後ずっと生じません。

C社・D社の納税義務・・・上記B社と同じく分割後3年目からは納税義務なし。

よって、この例示の場合では、分割後3年目からはグループ全体で消費税の納税がまったく生じなくなります。

ちなみに消費税法には「連結納税」はありません。
あくまでも各社ごとに単独で申告納税します。
したがって、納税義務のあるA社は常にA社の消費税だけを申告納税しますので、納付税額は毎年ゼロとなります。


デメリット
・毎年課税売上高が1,000万円以下になるように組織をこまかく分割するのは大変。
・将来消費税法が改正された場合にはどうなるかわからない。


本当はまだ他にもあるのかもしれませんが私が思いつくところとしては、まあこんなところでしょうか。

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