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日本の場合、中小企業(個人事業者+法人)が、わが国の企業数に占める割合は99.7%、雇用に占める割合は66.9%だそうです。(中小企業白書 付属統計資料より)
日本経済を実質的に支えている中小企業ですが、中には資金繰りが繰りしくて毎月の役員報酬の支払いが滞りがちな会社というのも、世の中にはよくある話ですよね。
資金や人材の豊富な大企業ならともかく、少ない人員で日々悪戦苦闘している、そんな小さな会社の経理の方々のお役に立てればと思い、微力ながら私なりにいろいろ調べてみました。
今回は、会計上の問題として考えてみましょう。
<例示>
当社の役員報酬は、毎月25日支払いで支給金額は50万円、そこから徴収される社会保険料が2万円、源泉所得税が3万円、よって手取額は45万円だとします。
しかし今月は資金繰りがつかず、25日には20万円しか支払えず、残りの25万円は資金繰りに余裕ができたときに支払う予定です。
当社が今月25日に行った仕訳は、現金出納帳により
役員報酬500,000 / 現金450,000
/ 社会保険預かり金20,000
/ 所得税預かり金30,000
現金250,000 / 短期借入金250,000
だったとします。
最終的に「短期借入金」となる部分は、「未払金」としてももちろんOKですが、未払金経理することが企業会計上特に問題がないことについてはどなたも異論がないでしょうから、もうこれ以上議論しません。
意見が分かれている借入金経理のケースについて考えてみます。
果たしてこれは「粉飾という誹りを受けても文句は言え」ないのでしょうか?
企業会計原則では、会社の一般投資家や債権者などの利害関係者に対し、会社の経営成績や財政状態について、判断に役立つ有益な会計情報を提供することを目的としています。
(1)会社の経営成績とは、主に会社の損益計算のことを指します。
「未払金」ではなくて「短期借入金」とした場合、会社の損益計算を著しく歪めて、利害関係者の判断を誤らせる結果となるでしょうか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、収益にも費用にも影響しませんから、利害関係者の判断を誤らせる結果にはなりません。
(2)会社の財政状態とは、主に会社の貸借対照表の内容を指します。
「未払金」ではなくて「短期借入金」とした場合、会社の財政状態を著しく歪めて、利害関係者の判断を誤らせる結果となるでしょうか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、流動負債には変わりありませんから、「流動比率」や「当座比率」には影響せず、利害関係者の判断を誤らせる結果にはなりません。
(注:私は経営分析は得意ではないので、もしも重大な影響を与えるような恐れのある経営分析指標がありましたら教えてください。)
(3)会社と役員の取引を隠蔽していないか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、いずれにせよこれが役員に対する債務であることは最初から明白ですので、どちらであろうが会社と役員との間の取引が隠されていることにはなりません。
どちらであっても「役員・大株主・関係会社等に関する重要事項」として、開示されるべき情報です。
(4)租税回避行為や脱税にならないか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、会社の利益(所得)には影響しませんから、法人税の計算には影響しません。
また、役員報酬に対する源泉所得税もちゃんと「所得税預かり金30,000」として徴収されていますから、所得税法上も問題はありません。
結論
以上の観点からみると、会社の利害関係者の判断を誤らせる結果にはなりませんから、これは一般に公正妥当と認められる会計基準その他の企業会計慣行に従った処理として認められると思います。
ゆえに「粉飾」という表現は適当な表現ではありません。
どこをどう転んでも、株主などの利害関係者から訴えられたりはしません(というかできません)から、会計上の処理方法としては、「未払金」でも「短期借入金」でも、安心してお好きなほうを選んでよいと思います。
日本の場合、中小企業(個人事業者+法人)が、わが国の企業数に占める割合は99.7%、雇用に占める割合は66.9%だそうです。(中小企業白書 付属統計資料より)
日本経済を実質的に支えている中小企業ですが、中には資金繰りが繰りしくて毎月の役員報酬の支払いが滞りがちな会社というのも、世の中にはよくある話ですよね。
資金や人材の豊富な大企業ならともかく、少ない人員で日々悪戦苦闘している、そんな小さな会社の経理の方々のお役に立てればと思い、微力ながら私なりにいろいろ調べてみました。
今回は、会計上の問題として考えてみましょう。
<例示>
当社の役員報酬は、毎月25日支払いで支給金額は50万円、そこから徴収される社会保険料が2万円、源泉所得税が3万円、よって手取額は45万円だとします。
しかし今月は資金繰りがつかず、25日には20万円しか支払えず、残りの25万円は資金繰りに余裕ができたときに支払う予定です。
当社が今月25日に行った仕訳は、現金出納帳により
役員報酬500,000 / 現金450,000
/ 社会保険預かり金20,000
/ 所得税預かり金30,000
現金250,000 / 短期借入金250,000
だったとします。
最終的に「短期借入金」となる部分は、「未払金」としてももちろんOKですが、未払金経理することが企業会計上特に問題がないことについてはどなたも異論がないでしょうから、もうこれ以上議論しません。
意見が分かれている借入金経理のケースについて考えてみます。
果たしてこれは「粉飾という誹りを受けても文句は言え」ないのでしょうか?
企業会計原則では、会社の一般投資家や債権者などの利害関係者に対し、会社の経営成績や財政状態について、判断に役立つ有益な会計情報を提供することを目的としています。
(1)会社の経営成績とは、主に会社の損益計算のことを指します。
「未払金」ではなくて「短期借入金」とした場合、会社の損益計算を著しく歪めて、利害関係者の判断を誤らせる結果となるでしょうか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、収益にも費用にも影響しませんから、利害関係者の判断を誤らせる結果にはなりません。
(2)会社の財政状態とは、主に会社の貸借対照表の内容を指します。
「未払金」ではなくて「短期借入金」とした場合、会社の財政状態を著しく歪めて、利害関係者の判断を誤らせる結果となるでしょうか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、流動負債には変わりありませんから、「流動比率」や「当座比率」には影響せず、利害関係者の判断を誤らせる結果にはなりません。
(注:私は経営分析は得意ではないので、もしも重大な影響を与えるような恐れのある経営分析指標がありましたら教えてください。)
(3)会社と役員の取引を隠蔽していないか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、いずれにせよこれが役員に対する債務であることは最初から明白ですので、どちらであろうが会社と役員との間の取引が隠されていることにはなりません。
どちらであっても「役員・大株主・関係会社等に関する重要事項」として、開示されるべき情報です。
(4)租税回避行為や脱税にならないか?
答えはノーです。
「未払金」だろうが「短期借入金」だろうが、会社の利益(所得)には影響しませんから、法人税の計算には影響しません。
また、役員報酬に対する源泉所得税もちゃんと「所得税預かり金30,000」として徴収されていますから、所得税法上も問題はありません。
結論
以上の観点からみると、会社の利害関係者の判断を誤らせる結果にはなりませんから、これは一般に公正妥当と認められる会計基準その他の企業会計慣行に従った処理として認められると思います。
ゆえに「粉飾」という表現は適当な表現ではありません。
どこをどう転んでも、株主などの利害関係者から訴えられたりはしません(というかできません)から、会計上の処理方法としては、「未払金」でも「短期借入金」でも、安心してお好きなほうを選んでよいと思います。
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