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分社化

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分社化

2008/07/08 12:15

ti-ko

すごい常連さん

回答数:5

編集

分社化する場合の税務上のメリットをおしえてください。
たとえば、製造部門、販売部門、支社などです。事業部門の分社に関して業績のいい部門とわるい部門を分社化した場合のメリット・デメリットを教えてください。税務だけでなくほかの面でも結構です。お手数かけます。

分社化する場合の税務上のメリットをおしえてください。
たとえば、製造部門、販売部門、支社などです。事業部門の分社に関して業績のいい部門とわるい部門を分社化した場合のメリット・デメリットを教えてください。税務だけでなくほかの面でも結構です。お手数かけます。

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1. Re: 分社化

2008/07/11 11:14

ti-ko

すごい常連さん

編集

shika-shikaさん クリアです。本当にご丁寧にありがとうございました。また、お世話になるかもしれませんので、その節はよろしくお願いします。

PTAさん ありがとうございます。経営戦略からのコメント参考に
なりました。またなんかあったらお願いします。

shika-shikaさん クリアです。本当にご丁寧にありがとうございました。また、お世話になるかもしれませんので、その節はよろしくお願いします。

PTAさん ありがとうございます。経営戦略からのコメント参考に
なりました。またなんかあったらお願いします。

返信

2. Re: 分社化

2008/07/11 07:47

PTA

すごい常連さん

編集

このようなあとに、本当に蛇足で恐縮ですが・・・

私も税法上のメリットはおまけ程度に考えれば良いと思います。

分社化の話が社内で出るのはどうしてか、どのような問題を解決されたいのか、その解決のためには、分社化以外の選択肢はないのか?
手段の目的化にならぬようにすべきと思います。
偉そうにすみません。

分社化すれば、従来どんぶり勘定だった業績が明確になり、どの事業が悪いのか、責任はどこにあるのかが明確になり、企業再生の施策構築・実行の的が絞れます。有効な手を打ちやすくなります。

一方で、人事、経理といった管理部門を各分社に設置することになり、間接部門が膨れ上がることがあります。
また、原料購買も、まったく違う事業ならば変わらないかもしれませんが、共通原料を使用している場合、全社一括大量購入から小口の個別購入に変わると、価格交渉力が減退するリスクがあります。
さらに、たまたま、転勤で業績の悪い支店にいただけで、そのタイミングで分社化されて切り離された社員は、貧乏くじを引かされたという被害者意識を持ちリスクもありますので、人事交流や人事評価の配慮が必要かもしれません。

流行に流されたり、苦し紛れの分社化だとすれば、このようなデメリットが結構表面化すると言われています。
事業売却するにしても、破たん寸前の事業が高く売れるわけはなく、高く売れるうちに売却する必要があります。化学メーカーでよくあることですが、事業部同士が複雑に絡み合っており、赤字事業だからと言って安易に売却すると、副産物の引き取り手がいなくなり、副産物の在庫まみれになるとか、結局、操業度を落とさざるを得ないとか、残った事業にも思わぬ影響が出たりします。

奥が深い問題であると思います。
会計士、銀行、証券会社など、多くの専門的な意見を集めるべきではないかと思います。

このようなあとに、本当に蛇足で恐縮ですが・・・

私も税法上のメリットはおまけ程度に考えれば良いと思います。

分社化の話が社内で出るのはどうしてか、どのような問題を解決されたいのか、その解決のためには、分社化以外の選択肢はないのか?
手段の目的化にならぬようにすべきと思います。
偉そうにすみません。

分社化すれば、従来どんぶり勘定だった業績が明確になり、どの事業が悪いのか、責任はどこにあるのかが明確になり、企業再生の施策構築・実行の的が絞れます。有効な手を打ちやすくなります。

一方で、人事、経理といった管理部門を各分社に設置することになり、間接部門が膨れ上がることがあります。
また、原料購買も、まったく違う事業ならば変わらないかもしれませんが、共通原料を使用している場合、全社一括大量購入から小口の個別購入に変わると、価格交渉力が減退するリスクがあります。
さらに、たまたま、転勤で業績の悪い支店にいただけで、そのタイミングで分社化されて切り離された社員は、貧乏くじを引かされたという被害者意識を持ちリスクもありますので、人事交流や人事評価の配慮が必要かもしれません。

流行に流されたり、苦し紛れの分社化だとすれば、このようなデメリットが結構表面化すると言われています。
事業売却するにしても、破たん寸前の事業が高く売れるわけはなく、高く売れるうちに売却する必要があります。化学メーカーでよくあることですが、事業部同士が複雑に絡み合っており、赤字事業だからと言って安易に売却すると、副産物の引き取り手がいなくなり、副産物の在庫まみれになるとか、結局、操業度を落とさざるを得ないとか、残った事業にも思わぬ影響が出たりします。

奥が深い問題であると思います。
会計士、銀行、証券会社など、多くの専門的な意見を集めるべきではないかと思います。

返信

3. Re: 分社化

2008/07/10 22:05

しかしか

さらにすごい常連さん

編集

>2.法人税法上のメリット
(1)軽減税率22%の適用は、毎年です。
つまり毎年B社、C社、D社の決算の時に、それぞれ毎年適用を受けることができます。


>(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます。
ここのところは私の説明が不十分でわかりにくかったようなので、もう少し詳しく書いてみます。

法人税における交際費の損金不算入額は、資本金1億円以下の法人の場合、400万円以下の部分についてはその10%、400万円を超える部分についてはその全額が損金不算入となります。

たとえばA社単独では毎年交際費が1,000万円あるものとします。
この場合、A社の交際費の損金不算入額は、
 ・400万円以下の部分・・・400万円。ゆえに損金不算入額は、400万円×10%=40万円。
 ・400万円を超える部分・・・1,000万円−400万円=600万円。ゆえに損金不算入額は600万円。
・損金不算入額合計は、40万円+600万円=640万円。


これを分社した結果、交際費は毎年B社330万円、C社330万円、D社340万円に分かれるようになったとします。

すると、損金不算入額は、
B社・・・400万円以下の部分・・・330万円。ゆえに損金不算入額は、330万円×10%=33万円。
C社・・・400万円以下の部分・・・330万円。ゆえに損金不算入額は、330万円×10%=33万円。
D社・・・400万円以下の部分・・・340万円。ゆえに損金不算入額は、340万円×10%=34万円。

グループ全体で損金不算入となる金額は、33万円+33万円+34万円=100万円ですね。

したがって、A社単独では640万円も損金不算入になっていたところが、3社に分割することにより、損金不算入額は540万円減少したったの100万円でよいことになります。
よって分社するとけっこう納税者有利になります。
(正確には、400万円の枠が3回使えるようになる、と書くべきでしたね。)


>3.消費税法上のメリット

消費税の納税義務の判定の「原則」は、その会社単独で前々事業年度の課税売上高により判定します。

しかし、会社分割(新設分割)により親会社の事業を子会社に引き継がせた場合には、消費税の納税義務の判定は、「分割等があった場合の特例」の規定が適用され、親子会社合算で判定することになります。(消費税法第12条)

つまり、その会社単独で判定する「原則」では前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であったとしても、その次に「分割等があった場合の特例」で判断しなければならないのです。

よって「分割等があった場合の特例」の規定により、親子会社両方の前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円を超えると、課税事業者となってしまい、その会社は納税義務ありとなるのです。

親子会社両方の前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円以下になれば、その会社はめでたく免税事業者となり、納税義務はありません。

蛇足ですが、親会社と子会社で決算日が違うケースの場合は、この「前々事業年度」の取り方が非常に難しくなります。
そんなわけでこの例示では、親子会社両方とも事業年度がまったく同じになるように設定しています。



>会社組織上のメリット・デメリットが生ずるみたいですね。

そうですね。
まず第一に優先して考えるべきことは、会社の事業経営上のメリット・デメリットでしょう。
最初から税金対策を目的とした分社というのは、さんざん書いといて言うのはなんですが、私は邪道だと思います。(笑)

税法上のメリット・デメリットなんかどうでもよいくらいの大きな成果を目標とした企業組織再編をやるべきだと思います。

>2.法人税法上のメリット
(1)軽減税率22%の適用は、毎年です。
つまり毎年B社、C社、D社の決算の時に、それぞれ毎年適用を受けることができます。


>(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます。
ここのところは私の説明が不十分でわかりにくかったようなので、もう少し詳しく書いてみます。

法人税における交際費の損金不算入額は、資本金1億円以下の法人の場合、400万円以下の部分についてはその10%、400万円を超える部分についてはその全額が損金不算入となります。

たとえばA社単独では毎年交際費が1,000万円あるものとします。
この場合、A社の交際費の損金不算入額は、
 ・400万円以下の部分・・・400万円。ゆえに損金不算入額は、400万円×10%=40万円。
 ・400万円を超える部分・・・1,000万円−400万円=600万円。ゆえに損金不算入額は600万円。
損金不算入額合計は、40万円+600万円=640万円。


これを分社した結果、交際費は毎年B社330万円、C社330万円、D社340万円に分かれるようになったとします。

すると、損金不算入額は、
B社・・・400万円以下の部分・・・330万円。ゆえに損金不算入額は、330万円×10%=33万円。
C社・・・400万円以下の部分・・・330万円。ゆえに損金不算入額は、330万円×10%=33万円。
D社・・・400万円以下の部分・・・340万円。ゆえに損金不算入額は、340万円×10%=34万円。

グループ全体で損金不算入となる金額は、33万円+33万円+34万円=100万円ですね。

したがって、A社単独では640万円も損金不算入になっていたところが、3社に分割することにより、損金不算入額は540万円減少したったの100万円でよいことになります。
よって分社するとけっこう納税者有利になります。
(正確には、400万円の枠が3回使えるようになる、と書くべきでしたね。)


>3.消費税法上のメリット

消費税の納税義務の判定の「原則」は、その会社単独で前々事業年度の課税売上高により判定します。

しかし、会社分割(新設分割)により親会社の事業を子会社に引き継がせた場合には、消費税の納税義務の判定は、「分割等があった場合の特例」の規定が適用され、親子会社合算で判定することになります。(消費税法第12条)

つまり、その会社単独で判定する「原則」では前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であったとしても、その次に「分割等があった場合の特例」で判断しなければならないのです。

よって「分割等があった場合の特例」の規定により、親子会社両方の前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円を超えると、課税事業者となってしまい、その会社は納税義務ありとなるのです。

親子会社両方の前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円以下になれば、その会社はめでたく免税事業者となり、納税義務はありません。

蛇足ですが、親会社と子会社で決算日が違うケースの場合は、この「前々事業年度」の取り方が非常に難しくなります。
そんなわけでこの例示では、親子会社両方とも事業年度がまったく同じになるように設定しています。



>会社組織上のメリット・デメリットが生ずるみたいですね。

そうですね。
まず第一に優先して考えるべきことは、会社の事業経営上のメリット・デメリットでしょう。
最初から税金対策を目的とした分社というのは、さんざん書いといて言うのはなんですが、私は邪道だと思います。(笑)

税法上のメリット・デメリットなんかどうでもよいくらいの大きな成果を目標とした企業組織再編をやるべきだと思います。

返信

4. Re: 分社化

2008/07/10 20:16

ti-ko

すごい常連さん

編集

sika-sikaさん どうもありがとうございます。短い時間の間でこれほどの内容のことが書けるのはうらやましい限りです。

1.会社組織上のメリット・デメリット
了解です。

2.法人税法上のメリット
>軽減税率22%でよい。)というものがありますが、この適用を3回受けられるようになる。

これは毎年ですか

>(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます

これも毎年ですか。損金算入ではないでしょうか。不算入であれば課税所得が大きくなりますよ。

3.消費税法上のメリット

A社とB社を比較してみます。

A社
分社前 1年後 2年後 3年後
2000    0    0   0

> ロ.分割後3年目からは、A社の前々事業年度の課税売上高は0円となるものの、すべての子会社の前々事業年度の課税売上高合計が2,000万円(700万円+700万円+600万円)となるため、やっぱり課税事業者となり納税義務ありです。

なぜ、子会社の売上が関係するのでしょうか。

B社
分社前 1年後 2年後 3年後
  0   700  700   700

>イ.分割した事業年度とその翌年度では、B社の前々事業年度の課税売上は存在しません(0円)が、親会社であるA社の前々事業年度の課税売上高は、分割前の課税売上高2,000万円です。
したがって、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は2,000万円(B社0円+A社2,000万円)になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

なぜ、親会社の売上が関係するのでしょうか。

私の知っている会社は一部上場会社で製造部門を分社、海外での
販社を分社していますから、規模が大きくなり税法上のメリットでなく、会社組織上のメリット・デメリットが生ずるみたいですね。

sika-sikaさん どうもありがとうございます。短い時間の間でこれほどの内容のことが書けるのはうらやましい限りです。

1.会社組織上のメリット・デメリット
了解です。

2.法人税法上のメリット
>軽減税率22%でよい。)というものがありますが、この適用を3回受けられるようになる。

これは毎年ですか

>(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます

これも毎年ですか。損金算入ではないでしょうか。不算入であれば課税所得が大きくなりますよ。

3.消費税法上のメリット

A社とB社を比較してみます。

A社
分社前 1年後 2年後 3年後
2000    0    0   0

> ロ.分割後3年目からは、A社の前々事業年度の課税売上高は0円となるものの、すべての子会社の前々事業年度の課税売上高合計が2,000万円(700万円+700万円+600万円)となるため、やっぱり課税事業者となり納税義務ありです。

なぜ、子会社の売上が関係するのでしょうか。

B社
分社前 1年後 2年後 3年後
  0   700  700   700

>イ.分割した事業年度とその翌年度では、B社の前々事業年度の課税売上は存在しません(0円)が、親会社であるA社の前々事業年度の課税売上高は、分割前の課税売上高2,000万円です。
したがって、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は2,000万円(B社0円+A社2,000万円)になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

なぜ、親会社の売上が関係するのでしょうか。

私の知っている会社は一部上場会社で製造部門を分社、海外での
販社を分社していますから、規模が大きくなり税法上のメリットでなく、会社組織上のメリット・デメリットが生ずるみたいですね。

返信

5. Re: 分社化

2008/07/08 13:53

しかしか

さらにすごい常連さん

編集

御社の業種や規模がわからず、質問者さんの立場もわからないのであんまり自信はありませんが、ちょっと考えてみた感じではこんなところしょうか。


<前提>
資本金5千万円、年間売上高約2千万円のA社が、本社事業部門、C支店、D支店をそれぞれ会社分割(新設分割)により独立させ、100%子会社であるB社とC社とD社を設立し、A社の事業の全部をそれぞれ移転させた。

その結果、各会社の状況は次のとおりとなった。
(話を単純にするため決算日はすべてA社と同じ日とする。)

A社(グループ親会社)資本金5千万円、年間売上高0円、従業員なし。
B社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
C社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
D社 資本金500万円、年間売上高約600万円。


1.会社組織上のメリット
・社長のイスが増えたことにより、出世の可能性が増え、やる気が増える。
・新規事業を展開する場合に、他の部門の顔色を伺う必要がないので、意思決定が迅速にできる。
・事業部門を売却する際、子会社株式の売却ですむため簡単に事業を売却譲渡できるようになる。
これにより、赤字部門を切り離して他社へ売却・整理し、黒字部門のみを残すことにより傾いた会社の経営を立て直すことができる。

デメリット
・あまりポストを増やすと人件費の高騰につながる危険性がある。
・会社分割について株主総会の承認を得なければならない。
・会社分割により新会社に移転する従業員の雇用条件を確保するなど、労使で合意を得なければならない。(会社分割を最初から解雇の道具とすることは不可。)



2.法人税法上のメリット
(1)法人税には軽減税率(資本金1億円以下の法人の場合、年間所得が800万円以下の部分については、軽減税率22%でよい。)というものがありますが、この適用を3回受けられるようになる。

今まではA社で軽減税率を1回しか受けられませんでしたが、今後はB社C社D社でそれぞれ受けられますから、グループ全体では合計3回受けられることになります。

(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます。
資本金が1億円以下の法人の場合、交際費の年額が400万円までの部分については10%のみが、400万円を超える部分についてはその全額が損金不算入となります。

分社後はB社で400万円までが10%損金不算入、C社で400万円までが10%損金不算入、D社で400万円までが10%損金不算入となりますので、全体で1,200万円までの交際費が10%の損金不算入ですむことになります。


デメリット
赤字が生じた場合に通算(相殺)できない。(極めて重大な欠点!)
本支店経営であれば、本支店間の黒字と赤字は相殺され、会社全体の最終利益についてのみ法人税が課税されましたが、別会社としてしまうとそれが相殺されません。
赤字会社の損失は黒字会社の利益と相殺できませんから、黒字部門(黒字会社)の利益についてはそのまま課税されてしまいます。

この問題を回避するためには、「連結納税制度」を利用するという手段があります。
こうすれば、赤字会社の赤字(損失)は黒字会社の黒字(利益)と相殺され、相殺後のグループ全体の利益に対してのみ課税されます。

しかし連結納税制度は、一度選択すると原則としてやめることができません。
そのため、(1)の「法人税の軽減税率」を各社ごとに適用することができなくなりますので、連結納税の対象とした法人がすべて黒字となった場合には不利になります。

また、(2)の交際費の損金不算入の規定もまとめて400万円まで10%となって終わりになります。(1社分しか適用できません。)

つまり、連結納税をすると(1)(2)のメリットは消えてしまいます。
したがって、分社後に連結納税をするくらいなら、最初から分社しなければよかったという結論になるかもしれません。(その会社の事情にもよりますが。)



3.消費税法上のメリット
消費税の納税がなくなる。

話の前提として、「その会社の売上高=その会社の消費税法上の課税売上高」として考えます。

消費税の納税義務の判定は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合に、消費税の納税義務者(課税事業者といいます。)となり、1,000万円以下であれば納税義務なし(免税事業者といいます。)となります。

新設分割をした場合、消費税の納税義務の判定は、親会社と子会社あわせて前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円を超えるかどうかで判定します。

したがって、A社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、A社のそれぞれその前々事業年度の課税売上高は、分割前のA社の課税売上高2,000万円になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.分割後3年目からは、A社の前々事業年度の課税売上高は0円となるものの、すべての子会社の前々事業年度の課税売上高合計が2,000万円(700万円+700万円+600万円)となるため、やっぱり課税事業者となり納税義務ありです。

しかし分割後は、そもそもA社に課税売上高がないので、いくら納税義務があったとしても、実際に納めるべき消費税額はありません。

B社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、B社の前々事業年度の課税売上は存在しません(0円)が、親会社であるA社の前々事業年度の課税売上高は、分割前の課税売上高2,000万円です。
したがって、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は2,000万円(B社0円+A社2,000万円)になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.しかし分割後3年目からは、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は、毎年約700万円(B社700万円+A社0円)であり、1,000万円以下なので、納税義務は以後ずっと生じません。

C社・D社の納税義務・・・上記B社と同じく分割後3年目からは納税義務なし。

よって、この例示の場合では、分割後3年目からはグループ全体で消費税の納税がまったく生じなくなります。

ちなみに消費税法には「連結納税」はありません。
あくまでも各社ごとに単独で申告納税します。
したがって、納税義務のあるA社は常にA社の消費税だけを申告納税しますので、納付税額は毎年ゼロとなります。


デメリット
・毎年課税売上高が1,000万円以下になるように組織をこまかく分割するのは大変。
・将来消費税法が改正された場合にはどうなるかわからない。


本当はまだ他にもあるのかもしれませんが私が思いつくところとしては、まあこんなところでしょうか。

御社の業種や規模がわからず、質問者さんの立場もわからないのであんまり自信はありませんが、ちょっと考えてみた感じではこんなところしょうか。


<前提>
資本金5千万円、年間売上高約2千万円のA社が、本社事業部門、C支店、D支店をそれぞれ会社分割(新設分割)により独立させ、100%子会社であるB社とC社とD社を設立し、A社の事業の全部をそれぞれ移転させた。

その結果、各会社の状況は次のとおりとなった。
(話を単純にするため決算日はすべてA社と同じ日とする。)

A社(グループ親会社)資本金5千万円、年間売上高0円、従業員なし。
B社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
C社 資本金500万円、年間売上高約700万円。
D社 資本金500万円、年間売上高約600万円。


1.会社組織上のメリット
・社長のイスが増えたことにより、出世の可能性が増え、やる気が増える。
・新規事業を展開する場合に、他の部門の顔色を伺う必要がないので、意思決定が迅速にできる。
・事業部門を売却する際、子会社株式の売却ですむため簡単に事業を売却譲渡できるようになる。
これにより、赤字部門を切り離して他社へ売却・整理し、黒字部門のみを残すことにより傾いた会社の経営を立て直すことができる。

デメリット
・あまりポストを増やすと人件費の高騰につながる危険性がある。
・会社分割について株主総会の承認を得なければならない。
・会社分割により新会社に移転する従業員の雇用条件を確保するなど、労使で合意を得なければならない。(会社分割を最初から解雇の道具とすることは不可。)



2.法人税法上のメリット
(1)法人税には軽減税率(資本金1億円以下の法人の場合、年間所得が800万円以下の部分については、軽減税率22%でよい。)というものがありますが、この適用を3回受けられるようになる。

今まではA社で軽減税率を1回しか受けられませんでしたが、今後はB社C社D社でそれぞれ受けられますから、グループ全体では合計3回受けられることになります。

(2)交際費の損金不算入の規定が3回受けられます。
資本金が1億円以下の法人の場合、交際費の年額が400万円までの部分については10%のみが、400万円を超える部分についてはその全額が損金不算入となります。

分社後はB社で400万円までが10%損金不算入、C社で400万円までが10%損金不算入、D社で400万円までが10%損金不算入となりますので、全体で1,200万円までの交際費が10%の損金不算入ですむことになります。


デメリット
赤字が生じた場合に通算(相殺)できない。(極めて重大な欠点!)
本支店経営であれば、本支店間の黒字と赤字は相殺され、会社全体の最終利益についてのみ法人税が課税されましたが、別会社としてしまうとそれが相殺されません。
赤字会社の損失は黒字会社の利益と相殺できませんから、黒字部門(黒字会社)の利益についてはそのまま課税されてしまいます。

この問題を回避するためには、「連結納税制度」を利用するという手段があります。
こうすれば、赤字会社の赤字(損失)は黒字会社の黒字(利益)と相殺され、相殺後のグループ全体の利益に対してのみ課税されます。

しかし連結納税制度は、一度選択すると原則としてやめることができません。
そのため、(1)の「法人税の軽減税率」を各社ごとに適用することができなくなりますので、連結納税の対象とした法人がすべて黒字となった場合には不利になります。

また、(2)の交際費の損金不算入の規定もまとめて400万円まで10%となって終わりになります。(1社分しか適用できません。)

つまり、連結納税をすると(1)(2)のメリットは消えてしまいます。
したがって、分社後に連結納税をするくらいなら、最初から分社しなければよかったという結論になるかもしれません。(その会社の事情にもよりますが。)



3.消費税法上のメリット
消費税の納税がなくなる。

話の前提として、「その会社の売上高=その会社の消費税法上の課税売上高」として考えます。

消費税の納税義務の判定は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合に、消費税の納税義務者(課税事業者といいます。)となり、1,000万円以下であれば納税義務なし(免税事業者といいます。)となります。

新設分割をした場合、消費税の納税義務の判定は、親会社と子会社あわせて前々事業年度の課税売上高合計が1,000万円を超えるかどうかで判定します。

したがって、A社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、A社のそれぞれその前々事業年度の課税売上高は、分割前のA社の課税売上高2,000万円になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.分割後3年目からは、A社の前々事業年度の課税売上高は0円となるものの、すべての子会社の前々事業年度の課税売上高合計が2,000万円(700万円+700万円+600万円)となるため、やっぱり課税事業者となり納税義務ありです。

しかし分割後は、そもそもA社に課税売上高がないので、いくら納税義務があったとしても、実際に納めるべき消費税額はありません。

B社の納税義務の判定は、

 イ.分割した事業年度とその翌年度では、B社の前々事業年度の課税売上は存在しません(0円)が、親会社であるA社の前々事業年度の課税売上高は、分割前の課税売上高2,000万円です。
したがって、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は2,000万円(B社0円+A社2,000万円)になりますから、課税事業者となり納税義務ありです。

 ロ.しかし分割後3年目からは、B社とB社の親会社A社の前々事業年度の課税売上高合計は、毎年約700万円(B社700万円+A社0円)であり、1,000万円以下なので、納税義務は以後ずっと生じません。

C社・D社の納税義務・・・上記B社と同じく分割後3年目からは納税義務なし。

よって、この例示の場合では、分割後3年目からはグループ全体で消費税の納税がまったく生じなくなります。

ちなみに消費税法には「連結納税」はありません。
あくまでも各社ごとに単独で申告納税します。
したがって、納税義務のあるA社は常にA社の消費税だけを申告納税しますので、納付税額は毎年ゼロとなります。


デメリット
・毎年課税売上高が1,000万円以下になるように組織をこまかく分割するのは大変。
・将来消費税法が改正された場合にはどうなるかわからない。


本当はまだ他にもあるのかもしれませんが私が思いつくところとしては、まあこんなところでしょうか。

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